磯焼け対策 ウニ駆除で成果 藻場育成に期待 漁協と長崎大サークル協力

長崎大のサークルメンバーも協力して行われたウニ駆除=長崎市神浦夏井町沖(ベントス提供)

 長崎市外海地区神浦で漁業者が行う藻場保全活動に「長崎大全学ダイビングサークルISANA」が協力して4年目になる。活動区域ではウニはほぼ見られなくなり、関係者は藻場の育成に期待を寄せている。来年度以降も場所を移し活動を続ける。
 保全活動を実施している外海地区活動組織の代表代理、林実さん(61)によると、神浦の海岸にはかつてワカメやヒジキ、ホンダワラなどが繁茂し、ミズイカ(アオリイカ)やイセエビが産卵していた。ところが磯焼けが進み藻場は十数年前に消滅した。
 市みなと漁協外海支所によると藻場が消滅したころからミズイカの水揚げも減少。2006年度には約3.4トンあったのが、19年度には約1トンにまで落ち込んでいる。
 藻場を再生させようと、同支所の組合員でつくる外海地区活動組織が国の補助を得て13年度から保全活動を実施。1辺50メートルのコの字形ウニフェンスを海中に張り、ワカメの母藻の設置や食害生物のウニ、ガンガゼの駆除を始めた。
 最初は船上で水深4、5メートルの海底を見ながらウニを取っていたが、不十分だと分かり、17年から年に1、2回、同サークルメンバーがボランティアで海中での駆除に協力している。
 今月14日の活動では、藻場の回復指導の専門家で海洋生物調査会社ベントス(福岡県糸島市)専務、南里海児さん(51)が潜水してフェンス内の海底を調査。ウニはほとんどおらず、岩の上に海藻の幼体を確認したという。
 潜水した学生5人のうち、工学部2年の髙﨑滉人さん(19)は「前回(7月)の駆除ではムラサキウニやガンガゼがまばらにいた。ウニが減って新しく海藻が育っているなら、今後もいろんな所で活動したい」と話した。
 この日5人はウニがいる区域に移動。岩の下や隙間に隠れる個体を見つけ、ハンマーや圧縮空気の出る専用道具で1人100~250個を駆除した。
 漁業者の高齢化が進む中、林さんは学生の協力に頼もしさを感じ「ここ数年の取り組みの成果が出てきた。ありがたい」と評価。ウニ駆除は来年度から外海地区黒崎に活動の場を移して続けるという。

ウニ駆除に効果のあった海底では海藻の幼体(中央)が確認された=長崎市神浦上道徳町沖(ベントス提供)

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