軍縮教育「あらゆる層に」 長大レクナ・中村氏 パネル討論で

平和・軍縮教育の在り方についてオンラインで意見交換するパネリスト=長崎市上町、NBCビデオホール

 核兵器廃絶に向けた平和・軍縮教育を考えるオンラインのパネル討論が25日あり、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授は学生だけでなく政治家や自治体、非政府組織(NGO)向けなど「あらゆる層にあらゆる形で普及させる必要がある」と述べた。
 レクナが長崎市で開いた被爆75年記念事業の一環で、国内外の大学や国連関係者ら4人がパネリストを務めた。会場とオンラインで240人以上が聴講した。
 レクナは国際基督教大と共に本年度から3年かけ、汎用(はんよう)性が高い平和・軍縮教育プログラムを開発する。中村氏は、核兵器禁止条約の前文などで軍縮教育の必要性がうたわれているが、具体例は乏しいと指摘。核に頼らず、一人一人の人間に配慮する「人類の安全保障」の価値観が大切と訴えた。別のパネリストも「国家主義を超えて共感を得る教育が大事だ」と語った。
 これに先立ち、霊長類学が専門の京都大前総長、山極寿一氏が講演。高い共感能力が人類の特徴で、本性も「どちらかというと暴力的ではなく平和的」との見解を示し、核や戦争のない世界の実現に対する希望を語った。

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