WWFの人権侵害疑惑、独立調査報告書を発表

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世界自然保護基金(WWF)は24日、活動に人権侵害が含まれていたという報道を受けた調査報告書を発表し、「改善に向け努力する」と述べた。

米バズフィード・ニュースは昨年、WWFで行われた人権侵害について報道。WWFが資金を提供し協力していた密猟警備員が、アジアやアフリカの国立公園で拷問や殺人を行ったという疑惑を指摘していた。

WWFは160ページにわたる報告書の中で「被害を受けた人に対して深く果てしない悲しみを感じている」と述べるとともに、「透明性を高めるべきだった」、「人権を守るよう、各国政府にもっと働きかけるべきだった」と分析した。

一方で、報告書では「後悔の念が見られない」として、謝罪や運営体制の変革を求める声も上がっている。

WWFの人権侵害疑惑とは

バズフィード・ニュースは昨年3月、一連の記事を発表し、WWFが「密猟と戦うために非合法で残酷な武装組織」に資金を提供していると批判した。

それによると、ネパールやカメルーンなどの自然保護区で、武装した警備員が先住民族や住民に対し、銃で撃つ、意識がなくなるまで殴る、性的暴行や鞭打ちを加えるといった加害行動を行っていた。

また、WWFはこれらの警備員に資金や武器を与え、協力しており、一連の人権侵害に目をつむっていたWWF職員もいたと批判した。

バズフィードは6カ国で1年間にわたり、100人以上からの聞き取りや何千ページにおよぶ文書をもとに、調査を行ったという。これには極秘文書や内部予算、武器購入に関する電子メールなどが含まれている。

バズフィードの報道後、WWFは独立調査委員会を立ち上げ、迅速な調査を約束。調査は過去に連人権高等弁務官を務めたナヴァネセム・ピレイ氏が主導した。

「政府との摩擦を避けるため」

調査委員会によると、疑惑の加害行動をWWFの職員が指揮したり、参加したりしたという証拠はなかった。

また、加害行動を行ったとされる人物を雇っていたのは、WWFではなく各国政府だったという。

一方で、疑惑に対するWWFの対応には問題があったと指摘。特に地元政府との協力体制や、訴えをどう取り扱ったかなどを批判している。

報告書では、コンゴ民主共和国(旧ザイール)のサロンガ自然公園での活動を例示した。

ここではWWF職員が「自然保護員による人権侵害の可能性に気付いていた」ものの、「加害行為を阻止し対応するための効果的な施策を策定しなかった」としている。

2016年には職員がコンゴでの人権侵害疑惑を上層部に報告。WWFの同国幹部が調査を決定したものの、地元の自然保護団体からの反発を「考慮した結果」、調査は行われたかったという。

調査委員会は、「たとえWWFが現地政府との摩擦回避を望んだとしても、人権尊重の責任が回避できるわけではない」と指摘した。

さらに、WWFは近年まで「コンゴ盆地やネパール、インドの保護員による人権侵害疑惑をめぐる訴えに(中略)一貫性があって統一的な解決策を示そうとしてこなかった」としている。

また、WWFの名の下で活動している各国・地域の団体が数多くあることから、WWFの「多様で複雑な構造」が、こうした訴えの扱いを「さらに複雑化」させていると述べた。

委員会はWWFに対し、人権擁護をめぐる方針を厳格に導入し、透明性を確保するよう推奨している。

WWFはこれとは別に、調査委員会の助言の導入方法についてまとめた対応報告書を発表し、ライン円から「定期的かつ高い透明性のもとに、進ちょくを評価していく」と約束した。

他の自然保護団体はさらに批判

他の自然保護団体からは、WWFの対応を批判し、変革を求める声があがっている。

イギリスの「熱帯雨林基金」は、WWFは独立調査の結果に対する「後悔の念が欠けている」と批判した。

同基金は、調査委員会が「ひどい発見」をしたにも関わらず、WWFは「欠点に対する責任を取ったり、WWFの名の下に行われた人権侵害の被害者に真摯な謝罪をしたりしていない」と述べた。

その上でWWF幹部に対し、「事業の中で行われた加害行動を一貫して阻止、追跡、修正できなかった」責任を取るべきだと訴えた。

同基金を含む複数の自然保護団体が発表した共同声明では特に、コンゴのサロンガ自然公園での「最も深刻な出来事」について言及している。

「報告書で推奨された内容をすべて導入し、事業に関するあらゆる人権侵害について調査を依頼し、WWFの名の下に行われた人権侵害の被害者に真摯に謝罪し、被害者に適切な支援を提供するよう、WWFに求める」と述べた。

(英語記事 WWF vows to 'do more' after rights abuse reports