「上手くならないとやられる…」 鷹・柳田、日本一の歓喜の裏で感じる“危機感”

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

日本シリーズで打率.429、1本塁打、3打点、4年連続日本一に貢献

「SMBC日本シリーズ2020」で打率.429、1本塁打、3打点を記録し、優秀選手賞を獲得したソフトバンクの柳田悠岐外野手。試合後には日本一への達成感とともに、柳田らしい危機感も語った。

柳田は今季、最多安打のタイトルを獲得し、規格外の本塁打を何本もかっ飛ばしてきた。4年連続日本一を決めたシリーズ第4戦では、先制された直後に逆転2ラン。今年最後の打席となった8回裏には、右前打を放ち、個人的にも有終の美を飾った。

柳田は「いい1年になったかなと思います」と満ち足りた表情で今季を振り返る。コロナ禍で12月直前のシーズン終了となったことに「疲れました」と本音を漏らしながらも「チームみんなで喜べるのは幸せなこと。リーグで優勝できて、その勢いでしっかり勝てたというのは自信になりますし、達成感というのはすごいあります」と噛み締めた。

その一方で、来季の話になると「やっぱり、どんどんどんどん野球が上手くならないとやられると思うんで。休んでまた始動する時から気持ちを入れ替えてやりたいなと思います」と語った。

「治るかどうか分からない不安があった」昨年の故障経験が背景に…

柳田は、今シリーズが始まる前にも「イチからレギュラーを獲りにいきたい」と同じような危機感を口にしていた。

その背景には、昨年の故障経験がある。4月の試合中に左膝裏を痛めて長期リハビリを強いられ、8月にファームで実戦復帰した際には「治るかどうか分からない不安があった」と涙を流した。改めて野球ができる喜びを実感したことで、それまでの実績をリセットし「上手くなりたい」という野球小僧の原点に立ち返ることができたのだろう。

そして栗原陵矢がブレークしたことで、来季以降の外野のポジション争いはさらに激しさを増す。上林誠知をはじめ、真砂勇介、佐藤直樹、柳町達らが虎視眈々とブレークチャンスを狙ってくるだろう。もちろん、現状での“格の違い”は誰もが認めるところだ。それでも柳田は「上手くならないとやられる」と本気で危機感を抱く。

対チームに関しても同様だ。王貞治会長が「来年は違った意味で強いジャイアンツが誕生すると思う。そのジャイアンツをやっつけて勝つというのが我々の目標になる。我々にはゴールはないんですよ」と語ったように、チームとして頂点に立ち続けるために柳田は「野球が上手くなる」ことに貪欲であり続ける。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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