〝辰徳おじさん〟は背中を押すか…巨人・菅野メジャー挑戦の夢巡る原監督の複雑胸中

©株式会社東京スポーツ新聞社

指揮官としての現実と伯父としての思い…原監督(右)は菅野の夢を巡って揺れている

これも惨敗の余波か。プロ野球史上初となる2年連続の日本シリーズ4連敗を喫した巨人・原辰徳監督(62)の心が大きく揺れている。球団はエース菅野智之投手(31)のポスティングシステムによるメジャー移籍を容認する方針だが、大黒柱が抜ければ日本一奪回に向けて大きな痛手。おじとして甥っ子の夢は後押ししたいが、指揮官としての本音は…。

ソフトバンクに打ちのめされ、日本一奪回の夢破れた巨人は26日に帰京の途に就いた。福岡空港で報道陣に対応した原監督は「敗軍の将、兵を語らず」と敗北を受け止めた。今年は新型コロナ禍の影響からレギュラーシーズンが120試合に短縮されたものの、11月末までの長丁場となった。日本シリーズ第4戦後の宿舎の食事会場では、杯を傾けながら1年間の労をねぎらったという。

一方で、終戦と同時に慌ただしいオフに突入した。中でも最大の懸案はエース菅野の去就だ。球団側は本人が来季からメジャーでのプレーを希望すれば特例としてポスティングを認める方針で、その最終決断を待っている。

原監督は「一生懸命考えるでしょう。彼のことだから、ダラダラとは考えないと思うよ」としたが、菅野が長年の夢とチームのどちらを選ぶかによって状況は激変する。何しろ8年間で101勝を挙げ、今季も14勝2敗で12個の貯金をもたらした無双エースだ。それだけに、原監督の胸中も複雑なものとなっている。

「まあ、それは非常に難しいね…」と切り出すと「監督という立場であるならば、残ってくれるということがベストですよ。それはね。『行きなさい』とは言えないですよね」と率直な思いを口にした。

それも当然だろう。チームの大黒柱であり、菅野は代えが利かない存在だ。日本シリーズでソフトバンクに肉薄、または日本一奪回に成功していれば「よし、行ってこい!」と背中を押せたかもしれない。しかし、現実的にはエース投入でも粉砕されるほど王者の壁は厚かった。移籍となれば大幅な戦力ダウンは避けられず、日本一への道はさらに険しさを増す。来季のチーム構想を考えれば〝残留要請〟するのは自然の流れだろう。

とはいえ原監督からすれば、菅野はかわいい甥っ子でもある。内容こそ明かさなかったが、本人からメジャーへの夢は直接耳にしているという。監督の立場であれば思いとどまってほしいが、身内としては夢を後押ししたいのが本音であることは言うまでもない。

「夢」については、昨オフに巨人史上初めてポスティング移籍した山口俊(ブルージェイズ)を送り出す際に、こんな言葉も送っている。「夢や挑戦は立ち入ることのできない場所」。その言葉に従えば、菅野の背中を押す以外の選択肢はなくなってしまうが…。

〝2つの顔〟を持つ原監督だからこそのジレンマは、どんな形で解消されるのか。