豪州SC:レプコ・オーストラリア・スーパーカーの新ロゴ発表。DJRマスタングもテスト開始

 この5シーズンはVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーとして開催されてきた豪州大陸を代表するツーリングカー選手権は、2021年から新たなシリーズパートナーを迎えて名称を一新。RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ(Repco Supercars Championship)としてスタートを切ることとなり、新シリーズ・ロゴを公開した。また、シリーズ3連覇を決めたディック・ジョンソン・レーシングは、王者スコット・マクラフランとチーム・ペンスキー離脱後の新体制下で初のテストを実施している。

 同国を代表する航空会社ヴァージン・オーストラリアに代わり、5年間のネーミングライツを獲得したレプコは、次の時代への移行期を迎えているシリーズとの融合を目指し、従来より簡素化された新シリーズロゴを策定。その上で「チャンピオンシップ」という言葉の規模と優位性を高めるデザインとした。

 さらに、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの情報を発信するソーシャルメディア・プラットフォーム上の施策更新も予定され、2021年1月1日からファン、スポンサー、メディアに向けた新たな公式ハッシュタグを『#RepcoSC』に置き換え、これまで使用されてきた『#VASC』はその役目を終えることとなった。

 オーストラリアを代表する自動車関連企業、レプコの企業戦略やマーケティングを担当するエグゼクティブ・ゼネラル・マネージャーのエイミー・フランゴスは、この新ロゴと新ハッシュタグは「レプコとスーパーカーという双方のビッグネームに存在する強力なパートナーシップを示している」と語った。

「私たちレプコは、このスーパーカーの大ファンです。スーパーカーと協力して新しいレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップのロゴを開発し、ファンとの関連性をより濃密にする新ハッシュタグを発表でき、本当に光栄に思っている」

 一方、シリーズ3連覇を決めた王者マクラフランとともに黄金時代を築き上げたDJR Team Penske(ディック・ジョンソン・レーシング・チーム・ペンスキー)は、北米インディカーでの本格キャリアを開始したそのチャンピオン支援のため、豪州大陸を離れる決断をしたチーム・ペンスキーの離脱により、2021年から再びディック・ジョンソン・レーシングとしてスタートを切る。

 これを受け、チームは10月末にも長くマクラフランの僚友を務めたファビアン・クルサードを放出し、続く11月6日にはホールデン陣営のエレバス・モータースポーツで光るスピードを見せていたアントン・デ・パスカーレの起用を発表。

 さらにそのチームメイトには、2020年開幕直後にCOVID-19の影響で23レッド・レーシングが参戦休止に陥り、自身のレースシートを喪失していたウィル・デイビソンの再加入をアナウンスした。

 そのデイビソンは、早速11月16日にスーパーカーとダンロップ主催の“スーパーソフト”タイヤテストに参加し、ライバル陣営となるシリーズ7冠王者のジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB/トリプルエイト・レースエンジニアリング)とともに、クイーンズランド・レースウェイでダンロップのテストプログラムを分担。

 来季のレースアクションをさらに改善するため、新たに導入される3番目のコンパウンドをテストし、デイビソンはここで初めてシェルV-パワー・レーシングの17号車マスタング・スーパーカーのステアリングを握った。

チャンピオンチームに加入し、タイトル獲得車両を引き継ぐウィル・デイビソンが初テストに参加
デイビソンがドライブするのは、“DJRTP02”のシャシー番号を持つ由緒あるフレームとなる

■「クルマはとても良い」と久々のマスタングを満喫したデイビソン

「明らかにいいね。マスタングは本当に良くできていて、素敵なデザインを持ち、僕もその姿に慣れている」と、久々のマスタングを満喫した38歳のデイビソン。

「僕らは今日、タイヤに必要なデータと知識を得ることに焦点を当て、シリーズのためのロングラン・テストをするためにここへ来た。僕にとってマスタングは慣れ親しんだマシンで、各チームがどのように車両を調整し、物事にアプローチするかを感じるのは非常に興味深いことだ」と続けるデイビソン。

「今日はとても暑く、路面も滑りやすかったけれど、最初の感触は明らかにポジティブだ。クルマはとても良くて、最初のほんの数周で頬が緩んでしょうがなかったよ(笑)」

 伝統のバサースト1000で2勝の経歴を持つデイビソンは、これまで15シーズンのスーパーカー・キャリアのなかで、6つの異なるチーム(および3つの異なるマニュファクチャラー)でドライブしてきた豊富な経験を持つ。

 今回ドライブした“DJRTP02”のシャシー番号を持つフレームは、ファルコンFG-Xとして戦ったのちマスタングにスキンチェンジされた個体(もちろんマクラフランのタイトル獲得車)で、2021年も17号車として参戦し、デイビソンがそのシートを引き継ぐ形になる。

「もちろん大きなプレッシャーだが、それはドライバーなら誰もが望むことだ。最高のマシンを手にしたいのは誰もが一緒で、それは今、僕の手にある。長い間この機会を待ち望んできたし、その実力が白日の元にさらされ、言い訳をする隙間もない環境だ。でもこんなに素晴らしいチーム、素晴らしいマシン、そしてプロのショーが自分の周りにあることは、これ以上ないほど幸せだよ」とデイビソン。

 一方、2021年開幕2戦までフォード陣営のティックフォード・レーシングとジョイントし、 23レッド・レーシングとして参戦したマスタングは、チームの所有するREC(Racing Entitlements Contract/参戦枠)とともにBJR(ブラッド・ジョーンズ・レーシング)に売却されることが決定。

 BJRはティックフォードの所有する3台のうち1台のマスタングも引き継ぎ、『CoolDrive』のロゴを掲げたティム・ブランシャードらと袂を分かち、2021年は2台のホールデン・コモドアZBに加え、2台のフォード・マスタングを走らせる計画を進めている。

23レッド・レーシングとして参戦した元デイビソン車のマスタングは、チームの所有するREC(Racing Entitlements Contract/参戦枠)とともにBJR(ブラッド・ジョーンズ・レーシング)に売却されることが決定
2021年はカスタマーの立場を離れるティム・ブランシャードやCoolDriveから離れ、BJRに残留することを決めたマコーレー・ジョーンズ

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