中年のひきこもりと、対立する厳格な父。『生きていてくれさえすればいい』と懇願する老いた父を武田鉄矢が熱演 <NHKスペシャル こもりびと>(NHK総合)

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これは間違いなくアカデミー賞を取った『おくりびと』のタイトルを意識しているな。8050問題に関連して中年のひきこもりが社会問題化している当節、データを集めてドラマ化したと説明されている。武田鉄矢が午後の生番組に出演して盛んにPRしていた。
重いストレスから働けなくなって10年以上自宅に引きこもっている倉田雅夫(松山ケンイチ)は、厳格な元教師の父・一夫(武田鉄矢)と対立し反抗し、コミュニケーションが取れていない。一夫は世間体をはばかり、雅夫のことは隠しているが、悩んでいる。ある日、一夫がガンで余命を告げられ、雅夫と向き合うことになる。
孫娘の尽力もあり、扉の内と外で激しいやりとりの後、やっと意思の疎通ができるようになったのは、一夫の命が消える時だった。出張でいない喪主に代わって雅夫が「喪主をやる」と言い出し、葬儀に遅刻したが、最後に感動的な挨拶が出来た。つまり、知能には関係ないのだった。武田鉄矢も松山ケンイチも熱演である。
こういうドラマには同情もあって高得点がつけられがちだが、ちょっと待て。筆者が大いに不満であったのはディテールの描き方。トイレと風呂の時しか出てこないとあったが、それより何より、3度の食事についてほとんど描かれていない。女のいない家庭で食材の買い込みはどうするか、誰が料理するのか、雅夫は毎食がコンビニ弁当でもないだろう。ひきこもりでも腹は減るのである。(放送2020年11月22日21時~)

(黄蘭)