岩井俊二「テレンス・マリックは映像の詩人」 「ソング・トゥ・ソング」鑑賞コメント 武田玲奈、IMALUも

ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンが幸せを模索する4人を演じる、テレンス・マリック監督作「ソング・トゥ・ソング」の鑑賞コメントが公開となった。岩井俊二さん(映画監督・映像作家)、大九明子さん(映画監督)、武田玲奈さん(女優)、IMALUさん(タレント)ら、映画監督、ミュージシャン、俳優、モデルなど総勢26名がコメントを寄せた。

鑑賞コメントでは、「テレンス・マリックは映像の詩人である。その描く世界は恐ろしいほどコンテンポラリーで、世界がまだ追いついていない」(映画監督・映像作家 岩井俊二さん)など、映像についてのコメントのほか、映画内で描かれる人間ドラマや、音楽フェスなど映画を彩る音楽などについてコメントが寄せられている。

「ソング・トゥ・ソング」は、音楽の街であるテキサス州オースティンを舞台に、幸せを模索する4人の男女を描いた作品。”何者かになりたいフリーター”のフェイをルーニー・マーラ、”売れないソングライター”のBVをライアン・ゴズリング、”成功した音楽プロデューサー”のクックをマイケル・ファスベンダー、”夢を諦めたウェイトレス”のロンダをナタリー・ポートマンが演じており、リッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミスなどのミュージシャンがカメオ出演している。「天国の日々」「ツリー・オブ・ライフ」などのテレンス・マリックが、監督・脚本を務めている。

■鑑賞コメント(敬称略)

テレンス・マリックは映像の詩人である。その描く世界は恐ろしいほどコンテンポラリーで、世界がまだ追いついていない。
\--岩井俊二

酔う。人物に張り付いて絶対逃してくれないカメラ。こちらの目を隙あらば射る斜陽。綺麗な恋愛を連打してくるかと思えば、不意に娘が父親に己の不甲斐なさを懺悔するのがガソリンスタンドでの立ち話とかいうリアリティ。えぐられる。
\--大九明子(映画監督)

永遠に続いて欲しいような美しいシーンが続く。無作為に思えるが、一瞬の光の入り込み方にすら意図が張り巡らされている。簡単に理解しづらく、何度も観たくなる所も含めて、正しく「映画」でした。贅沢な一作です。
\--オカモトコウキ(OKAMOTO’S)

美しくて愛おしい人間の感情たち。静かな悲しみと愛と怒りと…。人間の複雑に絡んだ感情が全て描かれている気がします。物語もそうですが、人間を見て感動しました。色々な人と関わっていくと新しい感情が生まれてきて、いいものも悪いものも。でもそれって改めて考えると1人でいたら生まれなかった感情な訳で、素敵なことだなって思います。改めて自分の生活や行動一つ一つが愛おしくなりました。
\--武田玲奈(女優)

問題を抱えた不器用な男女たちを演じる豪華俳優陣と、自由に言葉を発する豪華ミュージシャン達!ちょっとした表情や仕草の生々しさと美しい日常の景色はミュージックビデオを見ているような気分になりました。
\--IMALU(タレント)

フィクションのはずなのに、いつの間にか彼らの生活をこっそり覗き見ている気持ちに。生々しく揺れ動く感情をそのままに捉える画に、心がざわつく。劇場を出たとき、観る前とは違う景色や匂いが漂ってくるような映画。
\--枝優花(映画監督•写真家)

圧倒的な映像美、豪華な俳優陣に音楽。そして恋人たちの手つきや表情が、服を着ているのに官能的で、それがなんとも癖になり、じっと見入ってしまった。もっと見ていたいと思った。
\--瀬戸あゆみ(モデル・ブランドディレクター)

肉体もアート、言葉も音楽もアート、全てがポートレートのように美しい。ライアン・ゴズリングとマイケル・ファスベンダーの魅力が最大限に引き出されたテレンス・マリックのマジックに何度でも酔いしれたい。
\--伊藤さとり(映画パーソナリティ)

テレンス・マリックが描く混乱の世界にただ一つ、真実の愛が生み出したオアシスのような大海原がある。透き通っていて、永遠と続くように思える。外界に出れば出るほど、人はその居心地の良さを無意識に求めている。
\--小川あん(俳優)

恐れに心を支配された者たちの戯れは閃光のように美しく、愛を信じたくさんの悲しみを受け止めてきたパティ・スミスの真実の言葉はセラピーのようだった。すべてを包み込む音楽の街オースティンも主役級のかがやき。
\--奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)

言葉を探して、見つけて、諦めて。私達は彷徨いながら人生の答えを求めていく。撮影はさすがのエマニュエル・ルベツキ。肌のしっとりとした質感や温もりまで伝わってくる。この映画には脳にしがみつくような快感が潜んでいる。
\--加藤るみ(タレント)

生きるということは恋をすること、とミュージシャンたちが歌いながら、徐々に落とし穴にはまっていく。愛と裏切りの中で歪みはじめていく4人の関係。今回も美しい映像美をこれでもかと見せる。映画好きにはたまらない映画。
\--鎌田實(医師・作家)

撮影監督エマニュエル・ルベツキの広角レンズの目は、登場人物たちの心の奥底まで描きながら、その向こう側に広がる世界をも見渡している。時間を行ったり来たりしながら、気がつけばその広く美しい世界に没入している自分に気づかされた。動と静のダイナミズムが美しいとしかいいようがありません。
\--佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)

〝映像美〟本当にこの言葉がピッタリ。子供の頃に憧れた〝大人〟と〝アメリカ〟を久しぶりに感じた映画。映像で人の揺れを描き続ける。とても美しくて、時に緊張する。そんな時間を過ごせました。
\--ジェントル(作家・俳優)

名匠と豪華キャストが創り出したのは、ポエティックな空虚。寄る辺なく漂う孤独、自意識過多の独白、私たちもよく知っている青い不安。だが、愛を「求める」声が「与える」意志に変わるとき、世界はその色を変える。
\--SYO(映画ライター)

劇中に多く登場する実際のオースティンの音楽フェスたち。テレンス・マリックが撮るフェスは、情熱的で、無邪気で、美しくて、儚い。そこで出会うパティ・スミス、イギー・ポップらの力強い言葉が、主人公たちの日常、そして僕らの日常も肯定してくれる。
\--津田昌太朗(Festival Life代表)

ポップミュージックを聴いてきた。多感なときからずっと。ロックやソウルやブルースやポップスやレゲエやジャズやラップも。世界中の音楽を聴くとき思ったロマンチックな気持ちと少しの痛み。そうそうそんな映画だった。ポップミュージックを聴いたときのあの感じだ。今ルベツキが撮るルーニー・マーラの美しさを思い出してばかりいます。
\--ダイノジ大谷(漫才師・演芸DJ)

誰しもが何かに悩んでいる。答えを出してもそれが正解なのかまた悩む。壁にぶつかり続ける主人公達を少ない言葉で繊細に描いている素敵な映画でした。
\--高橋健介(俳優)

何者かになれた人々を羨むことはよくある。ただ彼らは彼ら自身が本来夢見た場所に本当に立っているのだろうか。誰もが何かしらを落とした先に希望を見つけ、其処に存在しているように思う。
\--巽啓伍(never young beach/Bass)

風や香りや体温のあたたかさまで感じる、五感のすべてが刺激されるラブストーリー。ありふれた日常の中にこそ決して見逃したくないロマンティックな瞬間が溢れていると気づかせてくれる。
\--DIZ(映画ライター)

美しい詩集の中で泳いでいるかのような映画。肌の上をすべる指先、キスのタイミングを伺っているのは私なのか。呼吸の温度と、夢の冷たさを、同時に体験している感触。
\--前田エマ(モデル)

音楽に溢れた街、オースティンを舞台に“何者か”になる夢を諦めきれずにいる登場人物たちが、さまざまな出会いを経ながら自分自身を見付けていく物語。答えは鏡に映る姿ではなく、相手の目に映る像に隠されていたりもする。華やかな俳優陣が織りなす人間模様の中で、本人として登場するパティ・スミス、イギー・ポップの存在感があまりにも強烈だ。
\--増田勇一(音楽ライター)

真実の恋か、華やかな成功か。鬼才テレンス・マリック監督が音楽を奏でるように、男女4人の人間模様を描き出す。豪華キャストの即興演技が見事なハーモニーを奏でるなか、ギターを弾き、恋に揺れ、パティ・スミスと語りあうルーニー・マーラの無邪気な美しさが魅力的。
\--村尾泰郎(映画・音楽ライター)

テレンス・マリック監督のロマンチックで切なく、アートのように美しい映像に心を奪われました。そして豪華すぎる俳優陣の美しさに圧倒されました。画作りがとても新鮮で絶対スクリーンで観るべきだと思いました!10年後にもう一度みたい映画です。
\--メドウズ舞良(女優・モデル)

そこでケイト・ブランシェット?って好きな俳優勢揃いなだけで眼福にも関わらず、面白い建築や予想を裏切るカメラ位置、自分の人生と台詞を重ねる余白までもらえた。幸せはどこにあるんだろう、生きるために付き纏う疑問を一緒に考えてくれるようなそんな時間だった。
\--柳英里紗(女優)

恋愛やロック・コンサートの陶酔のさなかに訪れる、全てが遠い追憶であるかのように思える瞬間。透明な切なさに満ちたその瞬間をテレンス・マリックは「歌」と呼び、映像に封じ込めた。
\--山崎まどか(コラムニスト)

ソング・トゥ・ソング
12月25日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
配給:AMGエンタテインメント
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