「天外者」田中光敏監督 三浦春馬さんの演技に「スタッフが何度も泣かされた」「注目してほしい」 城西大学で講演

三浦春馬さんが五代友厚を演じる映画「天外者」(てんがらもん)の田中光敏監督が、このほど城西大学で講演を行った。講演は、学生たちが「天外者」を鑑賞したあと、田中監督と徳留教授が登壇し、学生たちからの質問に答える形式で行われた。田中監督は、自身の目的・目標、時代劇、出演者などについて語った。

「問題にぶつかったとき、どういう心持ちで乗り越えましたか?」と聞かれた田中監督は、「だいたいぶち当たるのは映画を作る前。映画ができないかもしれないと悩むが、大好きな映画プロデューサーが言っていた『決してあきらめないことだ』という言葉を肝に銘じて頑張っている。(本作を作るにあたって)五代友厚は歴史上埋もれてしまった人物なので、そもそも作るかどうかを悩んだが、五代友厚について調べていくうちになんて素敵な人物なんだと気づき、映画を作ることを決めた」と、あきらめないことの大切さや映画化への道のりを述べた。

涙交じりに「目的を持つべき」というセリフに感動したと語る学生から、自身の目的を聞かれた田中監督は、「自分の目的はまだ気づけていないかもしれないけれど…映画を作り続けて伝え続けることが、僕にとっては目的であり目標。世の中にある、ちょっとした話や歴史に埋もれた人たちを描いて、伝え残していきたい」と、自身の目的・目標を語った。

続いて、五代友厚役の三浦春馬さん以外は時代劇の経験のないキャストがそろったことが話題となり、田中監督は「(これまでの時代劇よりも)もっとエネルギッシュで、”こんな時代劇でもいいんじゃないの?”ってものを作りたかった」と語った。また、岩崎弥太郎を演じた西川貴教さんが、体重を増やし、岩崎弥太郎の文献を読んで撮影に臨んだことも明かした。そんなキャストが時代劇のセットを前に芝居したときにピッタリとはまったことに、「いろんな時代劇のタブーがあって、この作品はそういうのを乗り越えられたんじゃないかと思うし、キャスティングに対しても同じ思いがあった」と、これまでの時代劇にはない作品となったことへの自信をのぞかせた。

主役の五代友厚役の三浦春馬さんとは、五代友厚は身分の高い家に生まれたゆえに、社会に出てからいろいろな人と出会うタイプのため、「いろんな世界を見て知って頭をぶつけながらやっと成長して自分の志ができ、目的や目標が彼の中で形になっていくのではないかという話になった」と、役柄について真剣に話し合ったことを明かした。また三浦さんについて、「我々スタッフが五代友厚の演技に何度も泣かされたので、彼の演技に注目してほしい」と訴えた。

最後に田中監督は、「やりたいことは遠回りしても、ぜひそこの場所に行くように頑張ってほしい。チャンスは人との関係でやってくるので、空から降ってくるものではないので、人や仲間との関わりを大事にしてほしい」と、学生に向けてメッセージを送り、講演を締めくくった。

「天外者」は、薩摩藩士から明治政府役人を経て実業家となり、「天外者(てんがらもん)=凄まじい才能の持ち主」と呼ばれた五代友厚を、坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文といった偉人たちの姿とともに青春群像劇として描いた作品。主演の五代友厚を三浦春馬さんが演じているほか、坂本龍馬に三浦翔平さん、岩崎弥太郎に西川貴教さん、伊藤博文に森永悠希さん、遊女・はるに森川葵さん、五代の父に生瀬勝久さんが起用されている。12月11日公開。

天外者
2020年12月11日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ギグリーボックス
Ⓒ2020 「五代友厚」製作委員会

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