黒岩知事が「ステージ3警戒宣言」 かながわ県民割の販売、30日から休止

新型コロナウイルスの対策本部会議で、ステージ3への警戒を呼び掛ける黒岩知事=27日午後、県庁

 新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、神奈川県は27日、対策本部会議を開き、医療現場が逼迫(ひっぱく)し県独自の警戒レベルが「ステージ2(漸増)」から「ステージ3(急増)」に近づいているとして、黒岩祐治知事が「ステージ3警戒宣言」を発した。県民を対象に県内旅行の代金を割り引く「かながわ県民割」(地元かながわ再発見推進事業)の新規販売を30日から休止することも決めた。

 県がこの日示した感染状況では、県内の病床利用率は22.9%、うち重症者の病床利用率は32.0%に上り、病床の逼迫度合いが増している。警戒レベルを判断する七つの指標のうち、数値基準を示した6指標でみると、感染経路不明率など3指標がステージ3の基準に達している。

 政府の現状認識やステージ3に引き上げた場合の社会経済活動への影響などを踏まえ、知事は「ステージ3警戒宣言」を発出し、「感染者の増加は予想よりはるかに速いペースで進んでいる。この難局を県民総ぐるみで乗り越えるため、徹底用心してほしい」と感染防止を呼び掛けた。

 このほか、コンサートやスポーツ観戦などを対象とした政府の「Go To イベント」事業についても12月2日から対象チケット(県内99件)の新規販売を一時停止する。販売再開の時期は今後の感染状況を踏まえて判断する。

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の停止や、飲食店などに対する時短営業の要請については「ステージ3には至っていない」として見送られた。

 県医療危機対策統括官の阿南英明氏が「医療現場の悲鳴」としてステージ引き上げを訴える場面もあった。知事は記者団の取材に「(引き上げはせず)ステージ3警戒宣言にとどめざるを得なかったのは私自身、内心忸怩(じくじ)たる思いだった。医療現場は本当に逼迫しており、危機的な状況だ」と語った。

 また、この日の県感染症対策協議会では、病床逼迫に対応するため、県が入院基準を見直し、年齢や基礎疾患を点数化して入院の優先度を判定する方針を示した。

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