スーパーGT:S耐岡山でクラッシュの高木真一が元気な姿でSGT第8戦富士に姿をみせる

 11月1日に岡山国際サーキットで開催されたピレリスーパー耐久シリーズ第3戦『スーパー耐久 in 岡山』でHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3をドライブしていた際にクラッシュ、負傷していた高木真一が、11月28日に開幕するスーパーGT第8戦富士を前に、負傷療養中ながら元気な姿をみせた。

 今季スーパー耐久のランキング首位を走っていたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は、スーパー耐久第3戦岡山の決勝の6周目、ヘアピンでクラッシュ。ドクターヘリで搬送され、腰椎と右手首を骨折。入院し手術した後、少しずつリハビリを行い退院。この日、さっそく富士スピードウェイに姿をみせた。

 高木によればクラッシュした後は意識もあり、「一部始終覚えていますよ」という。「あのとき右にハンドルを切っていて、ステアリングも衝撃で曲がっていましたが、腕は骨折したものの、そのおかげで内臓は守れていたのかな」とそのときの状況を振り返った。

 左ハンドルのメルセデスAMG GT3で、そのまま左側のドアから脱出しようとしたが、ドアが開かず、さらに煙が出てしまう。「火が点いたらヤバいな」と感じた高木は、右側から脱出しようとするが、現在のGT3カーはコクピット内にセーフティネットがあり、それがHANSに引っかかってしまった。冷静にHANSを外し、ネットを外して右のドアから脱出。オフィシャルが救助に当たった。

 そこまではアドレナリンもあり冷静だった高木だが、脱出後はやはり痛みもあり、救急搬送されることになった。「その後はずっと医療用ベッドの上で、そのままほぼ1週間」という状況だったという。

 じつは今回の負傷は高木にとって、「人生初の骨折、初の入院」だったそう。ただ、新型コロナウイルスの影響もあり、夫人もお見舞いに来られない状況だったという。「大変でした。動けないけれど、すべてを看護師さんにお願いすることもできず、『ホントならこれ、看病してくれる人とか必要だよな』と感じたり。手術するまでは葛藤ばかりでしたね。寝たきりの方の大変さとか、看護師さんの皆さんの大変さを改めて感じました」と高木。

 今回高木が負った怪我のなかでも、過去には中嶋一貴など腰椎骨折を負ったドライバーはいた。そんな状況もあったことから「レーシングドライバー仲間の間でも情報を得ていました」という。とはいえ、手術の翌日に「とりあえず車椅子に乗ってみましょう」と言われたときには、高木自身も驚いたとか。

「さすがに手術の翌日に……いいの!? みたいな(笑)」と車椅子から、さらに片手を使いながら歩行器を使い歩きはじめたところ「座っているより、立ち上がっている方が楽だった。メチャクチャ痛かったですけど、痛いところをちゃんと分かっていたら、歩くのは苦にならなかったです」と筋力を落とさないようにリハビリをスタートさせた。

 無事に退院した高木だが、このスーパーGT第8戦富士の週末に向けては、大湯都史樹がチャンピオンの可能性を残すARTA NSX GT3の応援、そして自らの代役として2戦目となる松下信治のアドバイスを行うという。

「ノブ(松下)も大湯にいろいろ聞きますが、多くの人の情報を得たいということで、映像を観ながら教えてあげたりしています。あのクルマは僕がいちばん分かっていると思うので、ドライバー目線で不安に対して言ってあげられたらな、と思っています」

 多くの関係者が岡山でクラッシュを見ており、この日は多くの関係者が高木の姿を見つけると、嬉しそうに声をかけていた。まだまだレーシングカーのドライブには時間が必要で、趣味の釣りについても「船に乗れない」と不満そうではあったが、まずは元気な姿をみせてくれたのは喜ばしい限りだ。

ピット練習を行うARTA NSX GT3

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