箱根登山鉄道を走る旧型車両をテーマにした写真集「箱根のクラシックトレイン」(神奈川新聞社刊)を横浜市泉区の会社員千葉博信さん(52)が完成させた。同鉄道は昨秋の台風被害から復旧し、今夏に約9カ月ぶりに全線で運転再開。千葉さんは「箱根観光復調に役立てば」と力を込める。
同鉄道は小田原─強羅間の急峻(きゅうしゅん)を登り下りする15キロ。世界第2位の急勾配と半径30メートルの急カーブ、高さ43メートルの鉄橋を擁する国内屈指の本格的な登山鉄道で、開業100周年を昨年迎えた。1950年代に順次導入された旧型車両は、現在4両のみが運行している。
鉄道を扱った著作のある千葉さんは全国的にも数少ない同鉄道の旧型車両の雄姿に魅せられ、約3年前からほぼ毎週末、撮影に通い詰めた。1日の運行本数が少ない中、独自ポイントを探し、魅力に迫った。
霧に煙る宮ノ下や夏祭りに沸く強羅などを背景に、四季折々の風景も織り込んだ。大平台駅では、冬の朝のわずかな時間、朝日を受け黄金色に輝く車両の姿も。スイッチバックの際、運転士と車掌がホームで交代する光景もユニークだ。
台風19号で線路や橋脚が流失するなど被害を受け、ことし7月の完全復旧まで時間を要した。千葉さんは「これまでも箱根山噴火などに見舞われ復活を果たしてきた。鉄道を含め箱根のさまざまな魅力に触れてもらえれば」と話す。
販売委託先を募っている。希望者は千葉さんまで。電話090(4221)4335。文庫判、オールカラー124ページ、税込み880円。書店、新聞販売店で扱っている。問い合わせは、神奈川新聞社出版メディア部電話045(227)0850。