感染急拡大「宴会予約ない」都は時短要請、神奈川でも悲鳴

横浜駅西口の繁華街。金曜日ということもあってか多くの人が行き交っていた=27日午後7時55分ごろ、横浜市西区

 新型コロナウイルスの感染急拡大で、神奈川県内の飲食店が再び苦境に直面している。隣接する東京都では、28日から約3週間の時短営業がスタート。「宴会の予約が全然入らない」「県内でも時短要請されたら従わざるを得ない」…。忘年会シーズンの書き入れ時を目前に、厳しい冬を覚悟する悲鳴が相次ぐ。

◆要請されたら「従うしか」

 「年末に向けて不安しかない…」

 27日の金曜夜。県内随一の繁華街・横浜駅西口で、居酒屋の男性店員(38)はため息をついた。徐々に戻りつつあった客足は、「第3波」の到来が指摘され始めた11月中旬から激減。「団体客の来店がなくなり、少人数での利用がほとんど。会社で飲み会が禁止されたと、予約のキャンセルもあった」

 宮崎料理専門店「いっちゃが 横浜西口店」の店長(28)も、「11月上旬はコロナ前の水準くらいまで戻っていたが…」と落胆する。12月の忘年会シーズンも予約はほとんどなく、「例年の半分ほどの客足になりそう」。仮に県が時短営業を要請したら「協力するしかない」とする一方、「つぶれる店が出ないよう、手厚い補償をしてほしい」とこぼした。

 川崎市役所(川崎区)近くの小料理店も、例年は満席になる12月の予約がほとんど入っていないという。店には消毒液を置き客同士の感染を防ぐ仕切りも設けるが、来店客は半分以上減った。女性店主は県内での時短要請も覚悟し、「もし出たら従わざるを得ない」と肩を落とす。

◆常連客も姿見せず

 一方、川崎駅近くで焼き鳥店を経営する40代男性は「そもそも閉店が午後10時だから、(時短要請は)あまり関係ない」と話す。5人以上の予約を受けない自衛策は取っているが、感染者急増に比例するように客足が遠のき、常連だった医療従事者も顔を見せなくなった。12月は書き入れ時だが、「厳しい状況は覚悟している。とにかく収束してもらうしかない」と苦しい胸の内を明かした。

 「2週間ほど前から毎日1人か2人、多くても3人という状況だった。金曜日でも2人だ」。横須賀市で居酒屋を営む40代の男性店主は、表情を曇らせる。

 顔が知れた常連客が集うカウンター席のみの店だが、「いつも来ていた人も来なくなってしまった」。仮に時短要請が出ても「補助金がないと続けられない」ほど厳しさを増しており、日々の感染者数ばかり報じて「何が感染防止に効果的か教えてくれない」メディアにも不信感を募らせた。

 市内の別の居酒屋の男性店主(51)も「宴会の予約が全然ない。いつもの半分以下だ」と明かし、団体客が来店しないことの影響を懸念した。

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