新型コロナで加速する"若者の恋愛離れ"「男性の雇用不安、女性が育児をしながら働き続ける環境が整っていない」と識者

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山田昌弘教授

マッチングアプリ「ペアーズ」を運営するエウレカは11月26日、「Pairs少子化・未婚化白書」を発表した。それに際してメディア向けにオンラインセミナーを実施した。

第一部では「Pairs少子化・未婚化白書」の作成に携わった中央大学文学部の山田昌弘教授が日本社会の少子化問題などについて説明。山田教授は「40年くらい結婚・家族の研究をしていますが、欧米と日本では異なった特徴があります」と話す。

コロナ禍で結婚数減少 経済的にやっていけるのかという不安

政府の少子化対策大綱では、日本の少子化の主な原因は未婚化・晩婚化と有配偶出生率の低下で、特に若い世代での未婚率や初産年齢の上昇が大きいとしている。

欧米では未婚で出産をする人の割合が日本より高い。日本は「出産するなら結婚してから」という意識を持つ人が多いため、未婚率が上昇している日本で少子化となるのももっともだ。

「未婚者というより『結婚したいけどできない』人が増えています。20~30代独身者で『身近に出会いがない』と回答した人は85%、『積極的に交際相手を探そうと活動していない』人は82%。この調査結果は去年のものですが、コロナ禍でますます増えています」(山田昌弘教授)

一方、"交際したくない人"も増えている。理由は「相手に合わせたくない」「交際は面倒」といったもののほか、経済的な問題がある。山田教授は「若い男性の雇用が不安であること」を挙げ、男女平等が唱えられる今でも「男が稼ぐもの」という認識の人が多いと指摘。

「男性が婚後の生活を主に維持するという考え方が、中々変わりません。読売新聞の発言小町をよく見るんですが『夫が家系を支えるのは当然でしょ』という若い人の相談が掲載されています」

加えて、「女性が育児をしながら働き続ける環境が整っていないというのもあります。女性は相手の収入に厳しい目を持たざるを得ない状況です」とも話す。そのため相手に婚後の生活を脅かすリスクがあるのであれば、そもそも交際に至らないケースも多いようだ。

交際に至っても、コロナ禍の結婚を避ける傾向がある。今年1~9月の結婚数は15%減少しており、山田教授は「コロナ禍で経済的にやっていけるのかという不安があるのでは」とコメントしている。

コンプラ意識の向上で恋愛できない人続出?

マーケティングアナリストの原田曜平さん

第二部のトークセッションでは山田教授、ジャーナリストの治部れんげさん、マーケティングアナリストの原田曜平さんが登壇した。

若者の恋愛事情について、1970年生まれの治部さんは学生時代を振り返り、「よく飲み会があって、誰に何を言われなくてもアプローチしていた」と話す。しかし、現在は飲み会自体が開催できず、若者のコンプライアンス意識の高まりもあり「今声をかけていいのか」「ストーカーと言われるのでは」など行動に移せない人が多いようだ。

原田さんは「最近の子は『結婚したい』という数値は高いけど、温度としては下がっている気がする」と話す。スマホで時間つぶしもでき、親とも仲がいいため親や世間からプレッシャーを受けることも少ない。また、山田教授同様、

「アラサー女子と話すと、とにかく『男が決断力ない』という声が上がります。女の問題でもあるけど、最終決断が未だに男にある。対等な付き合いであるはずなのに。今の若い男性は『押しなさい』っていわれても押せない人は多いです」

とコメントする。

「政府に求めたいのは1に経済政策、2に経済政策」

コロナ禍で恋愛事情はどう変わったか。積極的に交際相手を探して活動する人は1月には13%だったのが、コロナ禍の9月には10%と減少している。

原田さんは「出会いが無いので大学生・社会人1年目の子が可哀想ですね。"会う"というハードルが高いですし、恋愛強者だけ遊んでいるイメージです」と話す。

「オンライン飲み」が流行し、恋活・婚活サービスでもオンラインデートが行われるようになった。治部さんは「オンラインは『言語化できる人』が目立つ」と指摘。山田教授も同意し、

「対面だったら『喋らないけど真面目でよさそう』ということもありますが、オンラインだとそれがなくなってしまいます」

とコメントした。

ジャーナリストの治部れんげさん

未婚率の上昇、経済的な不安、コロナ禍とさまざまな問題があるが、治部さんは「市場で解決できないことを解決するのが政府だと思っています。だから私たちは税金払っています」と話す。

「多くの人がコロナ禍での雇用の不安など経済不安をかかえています。政府に求めたいのは1に経済政策、2に経済政策、3、4がなくて5に規範啓蒙。大臣が『若者の意識が~』といいますが、それより経済政策です。啓蒙としては『男が稼がなければ』という固定的な性別役割分担の意識をどう変えていくかではないでしょうか」