【社会人野球】こだわる直球の回転数は“メジャー級” 三菱自倉敷・廣畑、完璧救援で存在感

3番手として登板した三菱自動車倉敷オーシャンズ・廣畑敦也【写真:鳥越涼芳】

中4日で迎えたマウンド 3番手で3回1/3を投げ無安打無四死球

三菱自動車倉敷オーシャンズの廣畑敦也投手が27日、東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会第6日目のセガサミーとの2回戦に登板した。チームは2-4で敗れ8強入りは逃したが、廣畑は圧巻の投球で存在感を示した。

22日に行われたJFE東日本との開幕戦で先発した廣畑。最速154キロを計測したストレートと、落差の大きいカーブを軸に、昨年王者を1失点に抑えて完投勝利を挙げた。この日は、中4日で3番手としてマウンドに上がり、3回1/3を投げ無安打無四死球の完璧な救援で魅せた。

5回の満塁の窮地で登板。迎えた7番・中川には、初球にいきなり153キロを計測した。中川に対し5球全てストレートを投げ込み、最後は152キロ空振り三振でこの窮地を脱すると、マウンド上で大きく吠えた。「キャッチャーのサインが全部真っ直ぐだった。かわしにいったら打たれると思ったので、腕を振って投げ切れた」と胸を張った。

廣畑が投球で重要視するのは、いわゆる“球の伸び”を表すと言われる回転数。今大会では2回戦から弾道測定器「トラックマン」の数値も公開されている。「メジャーリーガー(の直球の平均回転数)が2600から2700くらいと言われている。自分もメジャーの回転数を目指しています」という廣畑の投じた直球は、平均で2500回転前後を記録。4イニング目に入った8回に回転数はさらに上昇し、2650回転近くを記録するなど、自身が理想に掲げているメジャー級の回転数のストレートを投げ込んだ。

質のいいストレートを追い求め、辿り着いた練習は丁寧なキャッチボールだ。「キャッチボールは野球で一番大事。相手の胸に強い球を投げることでしか直球を高めることはできない。指にかかった直球を投げることを一番に求めています」と力説。原点に立ち返ることで、相手を圧倒する直球に磨きをかけつづけてきたという。

わずか2試合の登板だったが、残したインパクトは大きい。それでも「(初戦から)中4日空いたけど、先発をさせてもらえなかった」と悔いは残った。「次は2試合でも3試合でも先発できるように自分の身体を強くして、また中国大会を勝ち抜いて都市対抗に出たい」。来年はさらに進化した投球が見られそうだ。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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