辺野古新基地CSIS困難視に「一報告」と官房長官

 【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、県が国土交通相の処分取り消しを求めた抗告訴訟の判決で県の訴えが却下されたことを受け、加藤勝信官房長官は27日の会見で、「普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため全力を尽くす」と述べ、新基地建設を推進する構えを改めて示した。訴訟当事者となっていた国交相が所管する国交省は「主張が認められた」とした。

 那覇地裁は判決で、県が違法性を指摘していた国交相の処分について、評価は避けた。中身の審理に踏み込まず、これまでの同種訴訟と同じく司法判断は下されないままとなっている。

 加藤氏はこの点について「裁判所の判断についてコメントは差し控える」と述べるにとどめた。県が主張する辺野古沖の軟弱地盤や活断層、埋め立て区域周辺の高さ制限の問題などについて、「十分に安定性を確保し、護岸などの施工が可能であることを有識者にも確認いただいている」と説明。いずれも問題視しない考えを示した。

 国交省の担当課は判決内容を歓迎しつつ、「訴訟の内容についてはコメントを差し控える」とした。

 一方、加藤氏は米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が11月に出した報告書で、辺野古新基地の完成が困難視されている点について問われ、「米国の一シンクタンクの報告」と言及を避けた。「辺野古移設が唯一の解決策」と政府側の従来の主張を繰り返した。

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