安倍政権「負の遺産清算」証人喚問行うべき

 約8年続いた安倍政権。国有地に大量の地中ごみがあるとし、大幅値引きで売却したことが表面化し、国会で取り上げられた2017年~18年の2年に限っても「事実と異なる国会答弁」が139回あったという。ここまで国民を欺いた政府が戦後あっただろうか。

 立憲民主党の川内博史議員の求めに衆院調査局が応じ、24日の衆院財政金融委員会で明るみになった。一国の行政府の長らが堂々と「虚偽」を言い、官僚も追認、黙殺する国家に民主主義が成立するのか。国民を欺いてきた内閣には怒りを超え、悲しささえ覚えるが、それ以上に危機感がある。

 森友問題決裁文書改ざんに関する財務省報告書と会計検査院調査報告書の内容突合で明らかになった。存在する記録や資料は『廃棄した』『残っていない』『交渉記録は残っていない』と堂々と虚偽答弁が繰り返されてきた。国会と国民を愚弄してきた責任は取っていただかなければならない。

 そして、今、「桜を見る会・前夜祭」を巡る安倍氏総理時代の国会における『虚偽答弁』が明るみになりつつある。会場となったホテル側は明細書も、領収書も当然ながら発行していた。しかし安倍氏は「契約の当事者は前夜祭への個々の参加者だ」と主張し、「事務所は(金銭収支に)かかわっていない」としてきた。

 またホテルニューオータニを会場に1人5000円の会費では催されるものではない、とする野党の追及にも、安倍氏は「1人5000円はホテル側が提示した」といい、補填したのではないのかとの問いにも「事務所側が補填した事実はまったくない」と強弁。「安倍晋三後援会としての収支は全くないので、政治資金収支報告書への記載の必要もない」と繰り返し答えてきた。

 自らが代表を務める資金管理団体「晋和会」にホテルから領収書が発行されていることが明るみになる。安倍事務所周辺関係者が「一部を補填した」と認め、これまでの安倍氏の国会答弁が事実と異なるものであったことが明らかに。

 また補填は2015年から昨年までの5年間で900万円近くになり、最初の年には収支記載していたのに、16年からは記載をしなくなった、との報道がある。発行された領収書を廃棄したとの報道も出てきた。政治資金規正法違反より、有権者への寄付行為となる公選法違反を気にしたと違法性を明らかに認識しての行為と疑いたくなる。

 神戸学院大学法学部教授の上脇博之氏はこの問題で東京地検特捜部に告発(弁護士・法律家ら662人で行った)直後の6月講演で、政治資金規正法違反(不記載罪)以外に、高級ホテルの飲食会として「1人5000円」は安すぎる、最低で1人1万1000円。会場代や案内状の経費などの支出もあったはずで、公選法違反(選挙区内の者への寄付)を指摘した。

 また上脇氏は総理が主催する公費での「桜を見る会」そのものに関しても、招待範囲が開催要領から逸脱し「安倍晋三後援会」推薦により招待された850人について、財政法は予算の目的外支出を禁止しており、招待範囲外の者の招待については、その分で増えた支出は目的外支出で「財政法違反」にあたる、と総理の「行政の私物化」を取り上げた。

 前夜祭の補填の原資がどこから捻出されていたのかも明らかにしなければならない。上脇氏は「官房機密費」の可能性も指摘した。安倍氏を巡っては森友、加計、桜に限らず、最高裁判事や検察人事への公正性への疑念もある。

 そうした中で、桜を巡る前夜祭問題がひとつ、負の遺産を解消できるきっかけになるとすれば、安倍氏を虚偽答弁に対して偽証罪に問える証人喚問で、疑問符を消去していくほかないだろう。日本共産党の田村智子政策委員長が25日の参院予算委員会で、立憲民主党の大西健介議員が25日の衆院予算委員会で、安倍氏の証人喚問を要求したのは当然の帰結といえよう。

 大西議員は「本件は国の最高責任者だった人間が、刑事責任を問われる可能性がある重大な事件、虚偽答弁で国会を欺いていたことを考えると国会が積極的に真相究明を行うべき、(これまでの虚偽答弁を踏まえれば)普通だったら参考人(招致)だが、虚偽の証言を行えば偽証罪となる証人喚問で安倍前首相を招致して頂きたい」と求めた。当然だ。民主主義を取り戻すために、安倍氏には真実を語っていただくことを強く期待する。(編集担当:森高龍二)

約8年続いた安倍政権。国有地に大量の地中ごみがあるとし、大幅値引きで売却したことが表面化し、国会で取り上げられた2017年~18年の2年に限っても「事実と異なる国会答弁」が139回あったという

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