辺野古抗告訴訟 県の訴え却下 法廷闘争継続へ

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の決定(裁決)は違法として、県が処分取り消しを求めた抗告訴訟の判決で、那覇地裁(山口和宏裁判長)は27日、「裁判所の審理対象に当たらない」として県の訴えを却下した。国交相裁決が適法かどうかの判断はしなかった。県は控訴する見通し。

 判決後、玉城デニー知事は「埋め立て承認取り消し処分の適法性などの審理が全くされないまま示された判決で、納得できるものではない」などとするコメントを出した。

 判決理由で山口裁判長は、県の訴えは埋め立て承認撤回の効力の回復を求めるもので、公益保護を目的としていると指摘。自治体が条例や規則に従わせるための訴訟を起こせないとした、2002年の「宝塚パチンコ条例事件」の最高裁判決を踏まえ、裁判所の審理対象となる「法律上の争訟」に当たらないと判断した。国交相裁決の取り消し訴訟を提起する「原告適格」もないとした。

 県側は辺野古沖の建設予定地で軟弱地盤が見つかったことなどから、埋め立て承認の撤回は適法と主張。県の撤回を取り消した国交相裁決は違法であり、取り消されるべきだと訴えていた。一方、国は県の訴えが裁判の対象にならないと反論し、訴えの却下を求めていた。

 2018年8月、県は辺野古沖の埋め立て承認を撤回。沖縄防衛局は行政不服審査制度を利用して国交相に審査請求などを行い、国交相は19年4月に県の承認撤回を取り消す裁決をした。承認撤回の効力を復活させようと、県は国交相裁決の取り消しを求める訴訟を2件起こした。昨年7月に提訴した「関与取り消し訴訟」は、今年3月に県の敗訴が確定している。辺野古に関する国と県の裁判は、大浦湾のサンゴ類の移植を巡る訴訟が係争中で、来年2月3日に福岡高裁那覇支部で判決が言い渡される。

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