よみがえれ戦跡の記憶 愛楽園で展示会

 【名護】ハンセン病に関する問題を伝える名護市済井出の沖縄愛楽園交流会館で21日、写真と布染の展示会「沖縄の傷痕―記憶の森へ」が始まった。来年1月31日まで。写真家勇崎哲史さんの戦跡の写真と、染色家平井真人さんの作品を組み合わせた展示会だ。

 交流会館の開館5周年記念企画の一環。展示会では勇崎さんが愛楽園内の「早田壕」など、沖縄戦の戦跡でセミが羽化する様子を収めた写真など約30枚と平井さんの染色作品「蔓草(つるくさ)ノ杜」も、布を会場内に張り巡らせるような形で展示されている。

 21日にはギャラリートークが開かれ、勇崎さんと平井さんがそれぞれ作品作りの姿勢や、込めた思いなどを語った。

 勇崎さんはセミの羽化と戦跡を組み合わせた写真を撮る意図を「戦争遺跡に『死』だけではなく『生』のイメージのものを入れることで、生きることに勇気をもらえる」と語った。

 平井さんは展示作品について「(テーマの)蔓草は平和の象徴だ」と説明。自身のテーマについて「『布は時の皮膚』と考えてきた。沖縄戦は75年たった今も形を変えて存在している。美術は記憶をよみがえらせるものだ」と強調した。

 交流会館は午前10時~午後5時、入館料無料。月曜・祝日休館。年末年始は休館。1月11日は開館する。展示会期間中はギャラリートークを月2~3回開く。 次回は11月29日。朗読劇「一九四五年チムグリサ沖縄」(12月19日、1月23日)や証言の朗読(1月31日)もある。ギャラリートークなど関連イベントの観覧は事前予約の人(定員25人)を優先する。ネットでの動画配信もある。

 問い合わせは(電話)0980(52)8453。

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