メクル第507号 自分と向き合う「道徳」 「望ましい生活」について意見交換

授業サンカン「今回は長崎市立横尾小」

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自分が感じたことを言葉にして発表し、友達の意見と比べます=長崎市横尾2丁目、市立横尾小

 学校の授業(じゅぎょう)の一つ「道徳(どうとく)の時間」が「特別の教科 道徳」となって小学校は3年目、中学校は2年目となりました。教科になったことにより、小中学校では教科書を使った道徳の授業が年35時間(小学1年生は34時間)以上行われています。
 児童生徒の中には、通知表に文章で書かれた「評(ひょう)価(か)」を、ドキドキしながら読んだ人もいるのではないでしょうか。今回は、長崎市立横尾(よこお)小(松崎邦彦(まつざきくにひこ)校長、289人)の授業を見学してきました。

 今回訪(おとず)れたのは、6年1組の教室。クラスのみんなは教科書の「お母さん、お願いね」を宿題で読んでくるように言われています。授業のめあては「望ましい生活をするために大切なこと」は何かを考えることです。

「授業で学んだいろんな力を生活の中で生かしてほしい」と話す成瀬先生

 「望ましい生活とは、どんなものがありますか」。担任(たんにん)の成瀬聡子(なるせさとこ)先生の言葉を聞いて、教室のあちこちから手が挙がりました。「早寝(はやね)早起き」「家に帰ったら、すぐ宿題をする」「遅(おそ)くまでゲームをしない」-。  事前に行われたアンケートでは、クラスの32人中26人が望ましい生活をした方がいいと答えていました。けれども、それが「できている」としたのは2人だけ。多くの人が望ましい生活をした方がいいと「分かっているけどできない」気持ちを抱(かか)えているようです。

めあて 望ましい生活をするために大切なことは何だろう。

 この日は、自分ですべきことをしなかった経験(けいけん)も発表され、子どもたちは教科書の主人公を身近に感じていることがうかがえました。「人を頼(たよ)ることは別にいいけれど、主人公はさすがに頼りすぎ」という意見も出されました。そこで先生が「主人公は変わろうとしたけれど、あなただったら変われますか」と尋(たず)ねました。
 子どもたちはワークシートを使って、「変われない」から「変われる」までの10段階(だんかい)で自分の考えを整理。その10段階を示(しめ)す目盛(めも)りが付いた黒板の物差しの下に、自分のネームプレートを張(は)っていきました。誰(だれ)がどんな考えなのかが一目で分かる仕組みです。
 「近くの人と話してみましょうか」という先生の声掛(か)けで、子どもたちは4人組の班を作って意見を交換(こうかん)した後、全体で自分の考えを紹介(しょうかい)しました。友達の意見を聞いて、考えが変わった人もいたようです。
 授業の後半では、「自分は変われない」と思う人へのアドバイスを考えました。「お母さんに言って罰(ばつ)を与(あた)えてもらう」「一日のスケジュールを記録する」「ゲーム機に決められた(使用)時間を書いて貼る」と、ここでも次々に手が挙がりました。
 最後に、これからどんな気持ちで生活するか、一人一人が自分と向き合う時間を取って授業が終わりました。「お母さんに頼りすぎない生活をしていきたい」「自分の行動を工夫しなければいけない」-。前向きな友達の発表に「分かりました」と応(おう)じる声が、教室中に響(ひび)いていました。
 授業後、松尾拓春(まつおたくはる)君(12)は「今回はよくある事例で考えやすかった」、酒井陸翔(さかいりくと)君(12)は「いつも自分の生活と比(くら)べながら道徳の授業に参加している」と感想。「子どもたちが今後、道徳の授業や他の教科での学びを『あの時のあの力だ!』と、使えるようになってくれたら」と成瀬先生は話していました。
 今回の授業は横尾小の先生の研修会(けんしゅうかい)も兼(か)ねていて、他のクラスや学年の先生が参観。放課後に開いた研究会では、よりよい授業を目指して熱心な議論(ぎろん)が交わされました。