錦織、大坂がBIG3に肉薄!2020年度 に最も稼いだテニス選手10人

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写真は錦織圭(左)と大坂なおみ(右)

今年、新型コロナウイルス蔓延の影響を受けて、グランドスラムでは「ウィンブルドン」がキャンセルされ、「全米オープン」と「全仏オープン」は賞金を減額して開催。男子テニスのATPツアー、女子テニスのWTAツアーも大幅に規模が縮小された中で、2020年に最も稼いだ選手を米経済誌のForbesが紹介している(データは2019年6月から2020年6月のもの)。

トップ10は以下の通り。

1ロジャー・フェデラー(スイス)

収入1億630万ドル(約110億7500万円):賞金630万ドル+スポンサー料1億ドル

今年「全豪オープン」以降ほとんどプレーしていないにもかかわらず、大きな収入を得ているフェデラー。彼が契約している企業は、ユニクロ、クレディ・スイス、メルセデス・ベンツ、モエ・エ・シャンドン等、世界の優良企業13社に及ぶ。怪我のために参加料が高額な招待試合への出場を逃していたが、昨年11月には中南米で5つのトーナメントに参加し、それだけで1500万ドル(約15億5700万円)を稼いでいる。

2ノバク・ジョコビッチ(セルビア)

収入4460万ドル(約46億3000万円):賞金1260万ドル+スポンサー料3200万ドル

パンデミックからの再開後は、新型コロナウイルスに感染したり、「全米オープン」で失格となるなど、ツイていなかったジョコビッチだが、昨年の「ウィンブルドン」と今年の「全豪オープン」のほか5大会で優勝。収入では今回もフェデラーに遅れを取ったが、近年のグランドスラムでは高い勝率を誇り、生涯獲得賞金だけを見ると1億4400万ドル(約149億5100万円)で史上1位。今年は仏自動車メーカーのプジョーと新規にスポンサー契約を結んでいる。

3ラファエル・ナダル(スペイン)

収入4000万ドル(約41億5100万円):賞金1400万ドル+スポンサー料2600万ドル

2019年の「全仏オープン」と「全米オープン」で優勝し、賞金では最多の1400万ドル(14億5300万円)を稼いだナダルは、総合3位。スペイン人のナダルは、ヨーロッパだけでなくスペイン語圏の中南米でも人気が高いため、特別試合への参加料は100万ドル(約1億400万円)を超えることも。自動車メーカーではフェデラーがドイツのメルセデス・ベンツ、ジョコビッチがフランスのプジョーと契約しているが、ナダルが契約しているのは「全豪オープン」メインスポンサーである韓国の起亜(KIA)だ。

4大坂なおみ(日本)

収入3740万ドル(約38億8000万円):賞金340万ドル+スポンサー料3400万ドル

この期間はグランドスラムで無冠に終わった大坂だが、東京オリンピックが控える中、日本を中心とするスポンサーから熱い目が注がれることに。日産自動車、ANA、資生堂、日清食品といった日本企業だけでなく、グローバル企業のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ともスポンサー契約を結んでおり、スポンサー料はテニス界ではフェデラーに続いて2位、女性アスリートとしては1位となった。

5セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)

収入3600万ドル(約37億3600万円):賞金400万ドル+スポンサー料3200万ドル

女性アスリートとしての知名度が突出しているセレナの生涯獲得賞金は9300万ドル(約96億5300万円)と、2位の倍以上の金額に上る。妊娠・出産を経験して復帰し、世界の一線に返り咲いたキャリアと知名度、あらゆる世代および所得層に幅広くアピールする人気を企業がほっておくわけがなく、ナイキ、ゲータレード、P&G、Beatsなどの一流ブランドと契約。自身も、マイノリティや女性が立ち上げた企業をサポートする投資活動を行っている。

6錦織圭(日本)

収入3210万ドル(約33億3200万円):賞金110万ドル+スポンサー料3100万ドル

肘の故障もあってこの期間の優勝はゼロに終わったが、大坂と同じく東京オリンピックに向けて日本を中心に大企業からの厚いバックアップがある錦織。日清食品、ユニクロ、JAL、アサヒグループ、NTTなどとスポンサー契約を結んでいる。自動車企業のスポンサーは、イギリスのジャガーだ。

7アシュリー・バーティ(オーストラリア)

収入1310万ドル(約13億6000万円):賞金1010万ドル+スポンサー料300万ドル

昨年「全仏オープン」で優勝して初の世界1位に上り詰め、その後の「ウィンブルドン」と「全米オープン」では4回戦、今年の「全豪オープン」ではベスト4に進出したバーティ。パンデミックが起こると感染不安や練習不足を理由にトーナメントから足が遠ざかったが、それでも2019年に獲得した賞金総額1130万ドル(約11億7300万円)は、2013年にセレナが打ち立てた1240万ドル(約12億8700万円)に続くWTA史上2位の記録だったこともあり、このトップ10ではジョコビッチ、ナダルに次ぐ賞金を稼いでいる。一方で大型スポンサーがいないため、スポンサー料はトップ10の中で最小にとどまった。

8ダニール・メドベージェフ(ロシア)

収入1180万ドル(約12億2500万円):賞金730万ドル+スポンサー料450万ドル

2019年に6大会連続で決勝に進む快進撃を見せたメドベージェフ。これは2000年以降、フェデラー、ジョコビッチ、ナダル、そしてアンディ・マレー(イギリス)しか成し遂げていない快挙だ。その中にはナダルとフルセットまでもつれ込んだ「全米オープン」決勝も含まれる。そうしたインパクトのおかげで、ドイツの自動車BMW、スイスの高級腕時計ボヴェなどと新たにスポンサー契約を結んでいる。

9ドミニク・ティーム(オーストリア)

収入1110万ドル(約11億5200万円):賞金710万ドル+スポンサー料400万ドル

2019年後半に3度優勝したティームの契約スポンサーには、母国オーストリアのレッドブルやオーストリア銀行のほか、アディダス、ロレックス、英国のスポーツ専門チャンネルのスカイスポーツなどが名を連ねる。今回は対象外だが、今年の「全米オープン」で念願のグランドスラム制覇を成し遂げ、トップ3入りも果たしたため、次回のランキングではさらに上位につけてくるだろう。

10シモナ・ハレプ(ルーマニア)

収入1090万ドル(約11億3200万円):賞金690万ドル+スポンサー料400万ドル

2019年の「ウィンブルドン」を制したハレプの生涯獲得賞金3650万ドル(約37億9000万円)は、女子選手としては史上4位の成績。近々バーティに代わってランキング1位に復活することがほぼ確定している彼女の契約スポンサーはナイキ、ウィルソン、英国の化粧品エイボン、スイスの高級腕時計ウブロといったグローバル企業だ。

プロスポーツは各地を転戦する移動が多いため、パンデミックによって移動が制限されると、当然影響を受ける。その中でもテニスは本来世界中で大会が行われるため、最も大きく影響を受けたスポーツの一つだ。

さらにクラブと契約するチームスポーツと違って、テニス選手は試合がなければ賞金がもらえない。ただし、有力選手の収入はそれほど減少していない。

2019年6月から2020年6月にかけてフェデラーが得た収入は、テニス界最高の1億630万ドルに達する。怪我やパンデミックのため、この間に出場したのはわずか10大会、そのうち優勝したのは2度しかないのにもかかわらずだ。理由は莫大なスポンサー料。

その内訳は、獲得賞金額630万ドルに対してスポンサー料が1億ドルと、後者が95%以上を占める。4460万ドルで第2位のジョコビッチも収入の70%以上がスポンサー料。

第3位ナダルも収入4000万ドルのうちスポンサー料が65%を占める。トップ10の総収入は3億4000万ドル(約352億8500万円)で、これは昨年の3億1200万ドル(約323億7900万円)から上昇している。

ちなみにフェデラーの成績は、テニス界のみならず、全世界のアスリートでナンバー1。2位はサッカーのクリスティアーノ・ロナウドが僅差の1億500万ドル(約109億200万円)で続き、3位も同じくサッカーのリオネル・メッシで1億400万ドル(約107億9800万円)。

テニス界2位のジョコビッチはスポーツ界全体では23位、女子テニス選手1位の大坂は同29位につける。

ほかのスポーツ選手に比べてテニス選手のスポンサー料が概して高い理由について、大手スポーツ・エージェンシー、オクタゴン社のフィル・デ・ピチオット社長は「テニスのトップ選手は概して選手生命が長い。

このことがブランドの価値を確立する上で非常に役立っている」と分析。そしてテニス選手は世界ランキングが毎週更新され、各大会のレベルが明確化されていることを指摘し、「やっていることが数値化されていてわかりやすいという点でベストだ。そして人々はベストを好む」と説明している。

フェデラーと、トーナメント出場の如何にかかわらず10年間で3億ドル(約311億円)の大型契約を結ぶユニクロのグローバル・クリエイティブ部門責任者であるジョン・ジェイは、「もちろん彼が史上最高のテニス選手であることは大きな意味があるが、ロジャーが世界にポジティブな変化をもたらす力こそが、彼にとっても我々にとっても未来を約束するんだ」と述べている。

(文/生盛健)

※写真は錦織圭(左)と大坂なおみ(右)
(Getty Images)