GRスープラ勢がホームコースでトップ4独占。KeePerがタイトル獲得へ貴重な1ポイントを追加【第8戦富士GT500予選】

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 変則的シーズンとなった2020年スーパーGT最終戦、富士スピードウェイでの第8戦GT500クラス公式予選は、KeePer TOM’S GRスープラの山下健太がポールポジションを獲得。急遽、代打参戦でQ1敗退を喫した前戦の借りを返すとともに、タイトル候補の平川亮を選手権首位に押し上げる殊勲の走りを披露し、得意の富士戦でトヨタGRスープラ勢が1-2-3-4体制を固めている。

 7月の開幕以降、徹底した感染症対策を施しながら、ここまでひとりの感染者を出すことなく進んできた2020年もついにシーズンフィナーレを迎えた。その熱量を反映したタイトル戦線は、ランキング上位6台が4ポイント差という近年まれに見る僅差の勝負となり、数値上は上位10位にチャンピオン獲得の可能性が残された。

 11月28日(土)という異例の時期となった最終戦は、その舞台が富士スピードウェイということもあり、恒例ノーウエイトの真剣勝負がトヨタ、ホンダ、そしてニッサンの各陣営のどのように作用するか。車両特性や寒冷期のエンジン性能が、リザルトにどう影響を与えるかが注目された。

 午前の公式練習では、快晴のサーキットに集ったファンの目前でトヨタ勢が躍動し、KeePer TOM’S GRスープラがトップタイムを記録。専有走行で最速となった2019年のチャンピオン山下健太が、ランク首位を行く平川亮をアシストする走りを披露する。

 その背後には予選シミュレーションを敢行したトヨタ勢が5番手までを占め、6番手以下にRAYBRIG NSX-GT、KEIHIN NSX-GT、ARTA NSX-GTのホンダNSX-GT勢が並ぶリザルトに。しかしホンダ勢のタイムは公式練習序盤で記録されたタイムということもあり、午後の予選でNSX-GTがどんな戦略で勝負を仕掛けてくるか。そして、10番手となったタイトル候補のMOTUL AUTECH GT-Rがどこまで上位に喰い込めるかが見どころとなった。

■Q1 ランキングトップのKEIHIN NSX-GTがまさかの敗退

 今季は組み分け方式が採用されているGT300クラスQ1セッション時点で、気温は13℃、路面温度が17℃と、冬到来を感じさせるコンディション。ただし日差しのあった午前とは微妙に状況が変化し、西日を遮るように雲が広がる空の下、13時48分にGT500クラスQ1が開始となった。

 ピットレーンオープンから2分半のところで、WAKO’S 4CR GRスープラが最後にコースイン。全15台が早めの出足でタイヤのウォームアップを進めていき、残り時間3分を切った計測4周目までじっくりとタイヤの発動を待つ。それを横目に、まずはZENT GRスープラの石浦宏明が、早めのアタックで1分27秒046を記録し首位に立つ。

 その背後にDENSO KOBELCO SARD GRスープラの中山雄一が続き、直前で1分27秒188としていたMOTUL AUTECH GT-R(松田次生)を上回り、早速GRスープラのワン・ツー体制を構築する。

 さらに計測5周目から本格アタック合戦の様相を呈すると、au TOM’S GRスープラのサッシャ・フェネストラズが1分26秒台に飛び込んでタイムボード最上位へ。

 その背後では5周目に1分27秒3、6周目に1分27秒175へと詰めたModulo NSX-GTの大津弘樹が4番手へと滑り込み、トヨタ勢の牙城を崩しに掛かる。

 そして今回は前戦の反省を踏まえてか、Q1担当で2度目のタイトル獲りに挑んだKeePer TOM’S GRスープラの平川は、5周目まで1分27秒台後半とQ1カットラインの8番手以下に留まる慎重なドライブを見せ、最後の1アタックにすべてを賭ける展開に。

 しかし、この重圧を跳ね除けた平川は1分26秒722を叩き出し、見事トップタイムでQ2進出を確定。以下、au TOM’S GRスープラ、ZENT GRスープラ、DENSO KOBELCO SARD GRスープラと4台のGRスープラが並び、Modulo NSX-GTを挟んでMOTUL AUTECH GT-R、RAYBRIG NSX-GT、カルソニック IMPUL GT-Rの8台がQ2へ。

 一方でタイトルコンテンダーの一角を占めたWAKO’S 4CR GRスープラやARTA NSX-GT、そして選手権首位のKEIHIN NSX-GTがQ1敗退という、ホンダ陣営にはまさかの結果となった。

■Q2 代役山下がポール&レコードで見事な仕事を果たす

 GT300クラスのQ2を挟み14時26分から開始されたGT500クラスのQ2は、ここ富士で優位を築く4台のGRスープラに対し、ホンダNSX-GTとニッサンGT-Rの各2台が挑む構図に。コースオープンと同時にModulo NSX-GTの伊沢拓也、KeePer TOM’S GRスープラの山下が先陣を切ってトラックへと入っていく。

 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)、RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)と続き、3分経過時点でau TOM’S GRスープラ(関口雄飛)がピットアウトし、これで全8台がコースイン。選択したコンパウンドによりタイヤ発動タイミングの異なる8台は、先行したModulo NSX-GTの伊沢が計測4周目から早めに1分27秒台に入れ、続く5周目のラップで1分27秒113を記録する。

 しかし、ほぼ同タイミングで計測4周目のコントロールラインを通過したDENSO KOBELCO SARD GRスープラのヘイキ・コバライネンが、1分26秒753として首位に躍り出ると、それに”GT最速男”の異名を持つZENT GRスープラの立川祐路が1分27秒039で続き、2番手に浮上して再びGRスープラ勢が主導権を握る展開に。

 さらに自身計測5周目で1分26秒841をマークしたau TOM’S GRスープラ(関口)がZENT GRスープラ(立川)の前に出ると、最後の最後までタイヤのウォームアップに徹したラストアタッカー、KeePer TOM’S GRスープラ(山下)が渾身の1ラップを見せる。

 セッション開始と同時にコースインし、自身5周目までじっくりとタイヤの様子を観察した山下は、終盤のセクター3まで最速タイムを刻んで1分26秒386と一閃。GRスープラ同門対決を制したばかりか、コースレコード更新というオマケ付きでポールポジションを獲得。前戦Q1敗退の借りを返すとともに、平川に貴重な1ポイントをもたらしランキング首位とし、明日の決勝を前に完璧なお膳立てを整える見事な仕事を成し遂げた。

 これでフロントロウ、セカンドロウをGRスープラが占拠し、3列目以降6番グリッドからMOTUL AUTECH GT-R、7番グリッドからRAYBRIG NSX-GTが巻き返しを狙う形となる。11月29日(日)に行われる2020年スーパーGT最後のバトル、66周300kmの勝負は同日午後13時に幕を開ける。

2020年スーパーGT第8戦富士 KeePer TOM’S GR Supra(平川亮/山下健太)
2020年スーパーGT第8戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
2020年スーパーGT第8戦富士 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)
2020年スーパーGT第8戦富士 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第8戦富士 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)