宮城県美術館移転断念で県民説明会 存続評価も不透明さ批判

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県美術館の将来を巡り、議論の進め方などに批判が集まった県民説明会

 宮城県は28日、移転を断念し、現地改修で落着した県美術館(仙台市青葉区)の経緯を報告する県民説明会を県庁講堂で開いた。約90人が参加。現地存続を「常識的な判断」と評価する一方、当初の増築改修から移転新築に急きょ転換した県の姿勢を批判した。

 老朽化した県美術館について、県は(1)現地での増築改修(2)宮城野区への移転新築(3)増築なしの改修-という3案を比較分析した結果を説明。国の財政支援を得るため、現施設を譲渡するか撤去する必要がある移転新築案に対し、文化的価値が高い現施設を維持しつつ、費用も比較的抑えられる増築なしの改修案が最も適当だと結論付けた。

 質疑では、複数の参加者が政策決定過程の不透明さを指摘した。県教委が約2年かけて2018年に策定した増築改修案を19年に撤回した判断を巡っては「乱暴だ」との批判に加え、「開かれた美術館、県政を」といった注文も出た。

 県美術館は、日本を代表する近代建築家の故前川国男氏が設計した。参加者の1人は「移転は経済合理性にのみ重きを置いた構想だった」と強調。現施設の価値を考慮し、地域資源としての活用を訴えた。

 県震災復興・企画部の佐藤達哉部長は「心に刺さる意見もあった。幅広い視点をしっかりと受け止めたい」と述べた。

 県は立地を含めた県美術館の在り方を年内に正式決定する。県美術館とともに移転集約の対象だった青葉区の東京エレクトロンホール宮城(県民会館)、宮城野区のみやぎNPOプラザは予定通り、同区の仙台医療センター跡地に新築する考えで、本年度に基本構想をまとめる。