「池間民族」300人 不死身の男、絵になる女… 宮古島市の池間文化協会が紹介

 【宮古島】「あのおじぃは島一番の力自慢だよ」「あのおばあは歌が抜群よ」。人生いろいろ、島人一人一人のドラマにスポットをあてた伝記「すまびとぅ列伝」を池間文化協会(川上哲也会長)がこのほど発刊した。宮古島市池間島の市井の人々(すまびとぅ)、約300人のドラマやそれぞれの逸話を紹介している。川上会長(72)は「池間の人と暮らしがぎっしりと詰まっている。人や島の魅力再発見につながればうれしい」と話した。(佐野真慈)

 「すまびとぅ列伝」は「今も語り継がれるすまびとぅ」「島を守り育てたンキャーン ヌ ウヤタ(先達)」「インシャ(海人)一筋に生き抜いて」「島ナーギ(誉れ)自慢あれこれ」など12章(148ページ)からなる。

 川上会長が約20年にわたってスクラップしてきた島の人を取り上げた新聞や雑誌の記事を基に、池間島の長老らから話を聞き取り、約300人の人柄や功績、魅力や逸話をまとめた。

 「容姿が池間民族を代表するモデルの仲間正雄」や「不死身の体験を語り海に生きた奥原岩雄」「仕草はすべて絵になる與那嶺ヒデ」など目次にもそれぞれのキャッチコピーを付けて紹介している。

 元校長の川上会長は発刊のきっかけについて「人はそれぞれ、その人生にドラマがあって、主人公だ。人を引きつけるそれぞれのドラマを形に残しておきたかった」と話した。

 21日には発刊を記念して「すまびとぅ列伝を語り合う集い」が池間公民館で開かれた。地域住民らが出席し「エピソードごとにそれぞれの顔が浮かぶ」「沖縄本島や県外で暮らす家族にも送りたい」と感想を述べて喜んだ。池間自治会の仲間広二会長は「よくぞ残してくれたと思う。島の宝にして受け継いでいきたい」と語った。

 「すまびとぅ列伝」は300部発刊し、池間文化協会が販売している。問い合わせは川上会長(電話)090(7396)6560。

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