【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(5)

通常の選挙とは違い、住民投票の場合は投開票日も活動が認められている。11月1日に大阪市内の森之宮団地で街頭演説を終えたばかりの山本太郎代表をつかまえて話を聞いた。現地で説明を続けた山本代表に、大阪市民の反応を聞いてみたかったからだ。

「肌感覚として『やばいな』って感じますね。大阪市廃止の内容を市民の方はあまり理解されていない。『えっ! 都にならへんの?』って人もいた。本当はメリットもデメリットも、両方ちゃんと伝わった上でジャッジするべき話。『デメリットはあるけどそれを上回るメリットがあるからね』ってことをちゃんと説明されればいいんです」

山本代表は松井一郎代表の「まちかど説明会」も聞いたという。

「松井さんが街頭でしゃべっているのを隅っこのほうで聞いたんですけど、『今使ってるような免許証とかそういうもんは、有効期限来るまで使える。まあ他にデメリット言うたら、まあ、お金は一応かかるけど、こんなんは初期投資やから』みたいな説明だった。『それだけ?』みたいな。大阪維新の会にとってのメリットは、『大阪市を廃止して分割させることのメリット』でしょうね。それは『大阪維新の会が言ってきたことが形になった』ってことだけじゃないですか。有言実行、みたいな。それ以外、あんのかな?」

今回は新型コロナウイルスの感染が拡大する中で住民投票が行われた。その時期についても山本代表は強く批判した。

「はっきり言って、『今これやるか?』って話ですよ。この地域を本当に良くしていくためのリーダーが考えることというよりかは、もう、殿なんだなっていう感じですね。殿。殿様。たとえば行政に対して忖度させる。病的ですよ」

れいわ新選組と大阪維新の会の主張は真逆だ。しかし、聴衆にマイクをもたせて質問を募るなど、活動手法には共通点もある。「一方的に話を聞かされる政治」から「一人の市民の話を聞く政治」への道を開いている点で両党は似ている。相手を舌鋒鋭く攻撃する点にも共通点がある。

大きな違いはメディアの注目度だ。大阪維新の会はメディアが動向を報じ続けるが、れいわ新選組の動向を報じるメディアは少ない。れいわ新選組と接点を持った人たちは確実に熱を帯びて活動を続けているが、すぐに効果を表すかは未知数だ。

せっかくの機会なので、山本太郎代表に次期総選挙に向けての動きを聞いてみた。今の段階で発表できる候補予定者は何人いるのか、と。

「今までに発表している候補予定者は15人ぐらい。すぐに出せる数は、あと15人プラスして30人です。その後ろに、自己資金で戦えるという人たちがもう20人います」

大阪での住民投票終了後も、れいわ新選組と山本太郎代表は全国で街頭演説ツアーを続けている。しかし、街頭で接触する人の数は限られる。効率を考えれば、気の遠くなるような草の根運動だ。しかも、メディアが取り上げることは期待できない。

衆議院議員の任期満了(2021年10月21日)まで1年を切った。一人ひとりの支援者やボランティアが支える「草の根運動」はどこまで広がるのか。それとも広がらないのか。

結果が出るのは1年以内。有権者は選挙の度に試されている

 

【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(1)
【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(2)
【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(3)
【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(4)
【大阪都構想住民投票】畠山理仁の現地ルポ! 有権者は選挙の度に試される(5)

© 選挙ドットコム株式会社