“婚約指輪”を受け取ってから激変した彼、そもそも本気だったのかと戸惑う35歳女性

「婚約」が成立していたかどうかは判断がむずかしいとよく言われます。婚約破棄をした、された場合はふたりで話し合うのがいちばんですが、指輪を送った時点で彼の態度が一変し、危うく騙されそうになったという女性がいます。


指輪はもらったけれど

1年前、8ヵ月ほどつきあった彼からいきなり婚約指輪を贈られたというキミカさん(35歳)。

「彼は早く結婚したいとそのとき言いましたが、私はそれが婚約指輪だという認識が乏しかった。結婚したいね、というのはプロポーズではないと思ったから。実際、彼はその後、結婚式の話をするわけでもありませんでした」

ただ、その話は親しい友人たちにはしたそうです。周りはみんな婚約したのだと思い、祝福してくれたといいます。

「でもそれから彼の態度が一変したんですよね。そのころ半同棲状態だったのですが、私が女友だちと食事をしていると、何度も電話をかけてきて、早く帰れって。自分が待っているからではなくても、です。彼は会社にいたり友人と食事をしていたりするのに、私にだけ早く帰れという。その友人の中に男がいるんじゃないかとか、他の男と親しくしているかもしれないからスマホを見せてと言ったり。急に束縛するようになったんです」

つきあいはじめたころに彼を女友だちに紹介していたので、キミカさんが「彼に束縛されている」と言っても誰も信じてくれませんでした。あんな素敵でやさしい人はいないと思うと逆に諭されることもあったそうです。

指輪をもらってから2ヵ月後、キミカさんと彼は些細なことから口げんかになりました。

「そのとき彼が、『だいたいキミカは男とみれば媚びるような目で見つめるじゃないか』とか、『オレの知らないヤツと飲みに行ったりしないでほしいんだ』とか、言いたい放題。最後は、『他にも男がいるんじゃないか』という言葉が決定打になって、私は彼の家を飛び出して自分のアパートに戻りました」

それから1週間、彼からの連絡はありませんでした。

婚約破棄が大前提?

1ヵ月後、彼の弁護士を名乗る男性から手紙が来ました。まずは3人で会う時間を作ってほしいとのことだったので、彼女は日時を指定、3人で会ったのです。

「すると彼の弁護士を名乗る男が、『あなたから婚約を破棄するということでいいんですよね』って。婚約破棄が大前提で話が始まったんです。細かく数字が書かれた紙を出され、今まで彼が私に使ったお金の明細がありました。指輪はもちろんですが、送ってくれたときのタクシー代や、缶コーヒー108円なんていうものまであって……。どういう男なのかと改めて思いました。『彼はもともと几帳面だから家計簿をつけていたんです』と言い、彼もうなずいていました」

それにしても、と彼女は言います。そのとき書かれていたのは指輪をはじめ350万円、それに慰謝料250万円、合計600万円とありました。とはいえ、その場で請求されたわけではなかったそうですが、その額に彼女は目を瞠りました。

どうしても腑に落ちなかった彼女は、彼と共通の知り合いを訪ねてみました。その人からさらに彼と古いつきあいのある人を紹介してもらうと、彼は以前、婚約破棄だとして相手の女性に300万円を請求し、怯えた彼女が全額支払ってしまったことがあると聞かされました。それに味をしめて今回もやっているのかもしれないと思ったとキミカさんは言います。

「私は絶対に払わない。そもそも婚約なんて成立していませんから。プロポーズもされていないし、双方の両親にも会っていない。弁護士の友人が協力してくれて彼を呼び出そうとしたのですが、彼は連絡がつかない。彼の弁護士と名乗った人にも連絡がつかない」

自分のための指輪だったのか…

しばらくたって彼はキミカさんの動きを知ったのか、「指輪だけ返してくれれば、もうなかったことにする」と言ってきました。それではすまないと思いましたが、これ以上、彼と関係を続けたくなかったので指輪を送り返したそうです。

「返すとき、ふと思ったんですよ。この指輪、前の婚約破棄騒動のときにも使われたものなのではないか、と。私のサイズにはちょっと大きかったし。新手だか旧式だかわからないけど、これも詐欺の一種じゃないですかね。そもそも8ヵ月程度のつきあいで、ちゃんとプロポーズせずに指輪を贈られたのもヘン。ケンカをふっかけて婚約破棄にもちこませるという手口なのかもしれません」

その割りには出会ってすぐではないところが妙だけどと彼女は笑いました。どこでどんなことが身に降りかかってくるかわからないもの。キミカさんも、「この指輪はどういう意味なのかときちんと聞くべきでした」と反省しているそうです。

© 株式会社マネーフォワード