ザ・ローリング・ストーンズのライヴ・パフォーマンス・ベスト14

Photo courtesy of The Rolling Stones

様々なバンドが台頭しては消えてゆき、ライヴ・アトラクションも時代と共に変化する中、決して変わることなく存在し続けているのがザ・ローリング・ストーンズである。彼らがグループとして与えられている“世界で最も偉大なロック・バンド”の異名には誰も文句のつけようがなく、しかも彼らはその称号の所有権を実に10年毎に更新し続けているのだ。ローリング・ストーンズの歴代最高のライヴ・パフォーマンスこそが、その確固たる証明である。

ザ・ローリング・ストーンズの最新ベスト盤『Honk』には、45年分のキャリアが生んだバンドの定番ヒット曲やアルバムからの人気曲が網羅されているが、更にそのデラックス・エディションは、彼らの卓越したパフォーマンスの備忘録でもある。ここには彼らが近年行なってきた大規模なツアー・スケジュールの間に録音された「Let’s Spend The Night Together」「Under My Thumb」「She’s A Rainbow」といったお馴染みの名曲を含む、10曲のライヴ・トラックがフィーチャーされているのだ。また、フローレンス・ウェルチ、エド・シーラン、ブラッド・ペイズリーやデイヴ・グロールら、世界各地で展開された印象深いゲストたちとの共演も織り交ぜられている。

彼らの熟練したライヴ・パフォーマンスを讃え、彼らが1962年の結成以来いかに観客を圧倒し魅了してきたかを詳述するために、我々は以下にザ・ローリング・ストーンズのベスト・ライヴ・パフォーマンス14選を挙げることにした。TV特番からアリーナ、そしてスタジアムでの史上最大規模のショウまで、その時と場所は多岐にわたっている。

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14. Shattered:1981年12月18日、ハンプトン・コロシアム、ヴァージニア州ハンプトン

ザ・ローリング・ストーンズがヴァージニア州のハンプトン・コロシアムで演奏したのは1978年、アルバム『Some Girls』のリリース直後で、この時のセットリストでフィーチャーされていたのが、同作の中で最も粗削りなロック・ナンバー 「Shattered」だった。

それから3年後、次のアルバム『Tattoo You』がリリースされてからも、この曲は変わらずライヴに不可欠な曲であり続け、彼らが1981年に北米で行なった全50公演を巡るツアー中のハンプトン・コロシアムでの2夜連続公演でも演奏された。

13. Star Star:1975年7月12日、ロサンジェルス・フォーラム

こちらはロニー・ウッドが新たに加入した後、バンドが1975年に行なった通称“Tour Of The Americas (アメリカ大陸縦断ツアー)”、と銘打ちながらも、結局北米のみを廻るのみで終わった時の映像だ。同ツアーでは、1973年のアルバム『Goats Head Soup』から、毎度お馴染みのハイオクタンな「Star Star」がフィーチャーされていた。

12. I’m Alright:1965年、アイルランド

ザ・ローリング・ストーンズの初期のバンド史を押さえておきたい、そして彼らがロックン・ロールの特権階級へと押し上げられた証拠を知りたいのなら、『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』は必見のドキュメンタリーだ。こちらはアイルランド中で、いや彼らがいく先々至るところでつきまとった耳をつんざくようなファンの絶叫と称賛の中で彼らが披露した、偉大なるヒーローのひとり、ボ・ディドリーのカヴァーである。

 

11. Tumbling Dice:1990年夏、ウェンブリー・スタジアム

ザ・ローリング・ストーンズというツアー・マシーンが最新版へと更新されたことを知らしめた“Steel Wheels tour”ツアーは丸一年続いたが、そのあまりにも巨大な規模のために、ヨーロッパに到達した時にはツアー・タイトルもセットリストも刷新されていた。

その“Urban Jungle”編で、彼らにとっては凱旋公演となったウェンブリー・スタジアム公演から、こちらも『Exile on Main St.』収録の名曲だ。

10. Wild Horses:2018年5月22日、ロンドン・スタジアム

最新ベスト盤『Honk』のデラックス・エディションにフィーチャーされているこのトラックは、時代を超越した優雅をまとった「Wild Horses」で、ミック・ジャガーがフローレンス&ザ・マシーンのフローレンス・ウェルチと共演した、記憶に残る稀有なパフォーマンスを収めている。

 

9. Satisfaction:1966年2月13日、エド・サリヴァン・ショー

ザ・ローリング・ストーンズが1964年から69年までの間にアメリカのテレビに登場したのは計6回で、うち1966年だけで2回あった。1966年2月「As Tears Go By」と「19th Nervous Breakdown」を含む3曲を披露した中でも、この 「Satisfaction」ではミック・ジャガーが強烈な魅力を発揮している。

 

8. Jumpin’ Jack Flash:1972年6月、テキサス

バンドの長い歴史の中で、数々の野心的なコンサート・フィルムが発表されてきたが、とりわけファンの中で別格扱いになっているのが『Ladies And Gentlemen… The Rolling Stones』だろう。ミック・テイラー在籍時の1972年、最も乗りに乗っていた彼らの姿が見られる作品である。2010年にレストア版がリリースされてからは、よりその様子が鮮明になっているはずだ。

 

7. The Rolling Stones Rock And Roll Circus:1968年12月、ロンドン

レストアされたTV特組と言えば、こちらはザ・ローリング・ストーンズ、ジョン・レノン、エリック・クラプトン、タージ・マハール、ジェスロ・タル、ザ・フー他、多くのミュージシャンが一堂に会した、忘れることの出来ない1968年のミュージカル・ショウの予告編だ。オックスフォード・サーカスの方が馴染みがあるかもしれない。

 

6. Dead Flowers:1971年3月26日、マーキー・クラブ、ロンドン

記念碑的ライヴ音源を集めた『From The Vault』シリーズの中でフィーチャーされた『Sticky Fingers』の収録曲である。ザ・ローリング・ストーンズが結成後初めて踏んだステージに9年ぶりに戻ってきた時に、幸運にもその場に居合わせたロンドンの観客の前で披露されたものだ。

 

5. Baby Please Don’t Go:1981年11月22日、チェックボード・ラウンジ、シカゴ

未だにメンバーたちの間で語り草になっているライヴである。このシカゴのサウス・サイドでの歴史的な夜、ミック、キース、ロニー・ウッド、そして長年のロード・マネジャーであるイアン・スチュワートが、彼らにとってはインスピレーションの源であると同時に、彼らのバンド名の由来にもなった曲を歌う人物であるマディ・ウォーターズと共演したのだ。これは彼らがマディ・ウォーターズによる50年代のもうひとつの名曲を一緒にセッションした時の模様だ。

4. Miss You:2013年7月、ハイド・パーク、ロンドン

ブライアン・ジョーンズの死後、バンドの歴史的なステージから45年の時を経て、ザ・ローリング・ストーンズは“50 & Counting tour”で故郷に戻り、ハイド・パークで2本の凱旋ライヴを行っている。ここで彼らは6万5000人のファンたちと感動を分かち合った。

 

3. I’m Free:1969年7月5日、ハイド・パーク、ロンドン

1969年夏の途方もないシーンに時を戻そう。ミック・テイラーにとって、ザ・ローリング・ストーンズ加入後初のギグは、ざっと25万人から50万人とも言われる観客の前だった。2015年にリリースされたリイシュー版DVDでは、ザ・ローリング・ストーンズの何十年というキャリアにおいても最も記憶に残るライヴのひとつと共に、ロック史における唯一無二の瞬間が堪能出来る。

 

2.  “スーパーボウルXL”:2006年2月5日、フォード・フィールド、デトロイト、

“A Bigger Bang tour”がツアー興行収益の新記録を打ち立てて間もなく、ザ・ローリング・ストーンズはモーター・シティ(デトロイト)に雪崩れ込み、極上のスーパーボウル・ハーフタイム・ショウをやってのけた。これはザ・ローリング・ストーンズにとって最高のライヴ・パフォーマンスのひとつとして歴史に刻まれただけでなく、今日でも全ロック史を通じてベスト・ライヴのひとつに数えられている。

 

1. You Can’t Always Get What You Want:2006年2月18日、コパカバーナ・ビーチ、リオデジャネイロ

ことライヴの規模という点においては、ザ・ローリング・ストーンズを超えるスケールはまず考えられないだろう。スーパーボウルのハーフタイム・ショウでライヴ・ミュージックの可能性の限界を打ち破ってから2週間も経たないうちに、彼らは未だかつて誰も観たことがない規模のコンサートを行ない、その記録を再び塗り替えてしまった。ここでは推定150万人もの人々が大いに浮かれ騒いだと伝えられている。

Written By Paul Sexton

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