もうすぐクリスマス。子どもへのクリスマスプレゼントを何にするかを決める保護者の皆様も多いのではないでしょうか。昨今、子どもたちがほしいプレゼントは、なんといってもスマートフォンでしょう。でも、子どもにスマホを渡してもいいのでしょうか?日本メディアリテラシー協会理事長の寺島絵里花氏が、子どもがスマホをもつメリットとデメリットについてお答えします。
スマホの低年齢化
クリスマスやお正月、そして中学1年生に進学する前の春休みにスマホの購入を検討されるご家庭が多いのが現状です。最近では「スマホの低年齢化」が進んでいることが話題になっていますが全国の小中学生で所持率はどのくらいになるのでしょうか。
実際に2020年に発表された総務省の全国調査によると、2019年時点で中学生の約75%以上がスマートフォンを所持していることがわかります。とくに、2017年では中学生全体のスマホ所有率は54.6%だったのに対して、1年間で16%も急増しているのがわかります。小学生も49.8%となっており約半数が所有しています。
2020年7月に、文科省が災害時等の連絡&防犯手段として中学校への携帯の持ち込み条件つきで許可する方針になったことでも話題になっています。
なぜ、子どものスマホ低年齢化が進んでいるのか
中学生なので、ゲームや動画視聴が多いのですが、一番利用しているのがコミュニケーションでの利用=SNSといったLINEやTwitter、Instagramです。子ども同士のコミュニケーションは、従来の対面コミュニケーション以外のデジタルコミュニケーションが盛んであることがわかります。もはや、デジタルコミュニケーションができるか否かは、中学生の死活問題と言えるでしょう。部活動や学校連絡なども、LINEが活用されています。
では実際に子どもがスマホをもつメリットとデメリットについて考えていきましょう。
スマホをもつメリット
- 調べ学習が進む。アプリなどで学習のサポートも可能。
- 趣味など興味範囲が広がる
- paypayやLINEペイなど活用できお小遣い管理ができる
- 共働き家庭が増えている中で、いつでも子どもとの連絡がつきやすくなる。災害や緊急時に安否確認ができる。
- GPS機能が搭載されているので子どもの位置情報が確認できる
- 子ども同士のコミュニケーションツールとしての活用
- アプリなどあるためゲーム費用を削減できる
スマホをもつデメリット
- 視力の低下や姿勢が悪くなるといった身体的弊害
- 学習低下
- スマホ依存
- 出会い系などで事件に巻き込まれる可能性
- SNSによるいじめ
- 課金による多額の出費
- アダルトサイトや有害サイトへの接触
現に、毎年、小中学生のインターネット利用時間は急激に増えているのも心配です。総務省が発表している「青少年のインターネット利用時間(1日平均)」ですが、令和元年時点で、中学生は1日平均176分で3時間以上使っている子どもが45.8%となっています。小学生も1日平均129分で3時間以上使っている児童は29.3%と年々増え続けているのです。
きっと大人はこの時間よりも遥かに長時間スマホを使っているのではないでしょうか。子どもと保護者が、ゆっくりと目を合わせて会話する時間がご家庭でどれほどあるのかと信じがたい気持ちです。しかしながら、子ども同士のデジタルコミュニケーションを育むためにも、スマホなくしては過ごすことができなくなりつつあるのも不思議なことです。
小学校を卒業したばかりの子どもたちの自制心を育てるためにも、保護者ははじめてスマホを購入したら子どもと一緒にルールを決めていくことがとても大切です。
LINEなどのSNS意外にも、YouTubeなどの動画や、ライブ配信アプリでのライブ視聴、オンラインゲームや音楽視聴などさまざまな誘惑で時間を浪費してしまう可能性が十分にあります。
コロナ禍において、休校中に保護者が仕事で家を空ける時間が長時間化し、学校内でのSNSトラブルや休校明けの不登校も問題となっています。
令和版スマホ10か条
働く女性が増え、家庭内の時間が少なくスマホに依存する子どもが増えていることを踏まえ、一般社団法人日本メディアリテラシー協会は、ママライフバランス株式会社と共同で「令和版スマホ10か条」を全国の保護者の皆様と、子どもと一緒に創り上げていくことにしました。子どもの意見を尊重し、子どもたちにも自主的に考えていくきっかけを作りサポートしていきたいと考えています。
今まで、学校教育でも家庭教育でも、民間企業でもなかなか現実的にルール作りを具体的に作っていくことができなかったことも、数々の事件を引き起こしてきた要因のひとつではないかと考えています。
未来は、情報社会を生きていくのが当たり前となるでしょう。情報弱者にならないためにも、安全で安心できる社会を目指して、スマホと子どもの関係をよりよくしていきたいと願っています。
これまでの【寺島絵里花の子どもメディアリテラシー講座】は