
黒部峡谷鉄道(黒部市黒部峡谷口)は30日、今シーズンのトロッコ電車の営業運転を終えた。29日までの乗降客数(速報値)は、新型コロナウイルスの影響で前年比約6割減の25万4161人となり、年間では営業運転を開始した1971年以来最少となる見込み。
今季は、新型コロナの感染拡大を受け、予定より1カ月遅れて6月1日に全線開通した。感染拡大を防ぐために乗車定員を少なくしたほか、6、7月は運行本数を減らした。
6月の乗降客数は前年同月比16%。政府の観光支援事業「Go To トラベル」などで10月は同72%、11月は同81%まで回復したものの、年間では過去最少だった1971年の約58万1千人の半分以下となっている。同鉄道は、12月1日に年間の速報値を発表する。
営業運転最終日の30日、宇奈月駅でセレモニーが行われた。午後2時56分発の最終便の出発に合わせ、宇奈月温泉のおかみでつくる「かたかご会」のメンバーが、木下涼介運転士と沓掛浩一車掌に花束を贈った。列車は藤田義弘駅長の合図で出発し、同鉄道の社員やかたかご会のメンバーらが見送った。
同鉄道の鈴木俊茂社長は「感染防止に取り組みながら無事故で運行できた。ウィズコロナで旅行の形は変わっていくと思うが、黒部峡谷で感動の体験をしてもらうため何ができるか考えたい」と話した。
運休中、機関車の運転体験会や車庫見学会を行う。


