新潟市に編入合併されてまもなく20年が経つ旧黒埼町

写真中央の少し左上(構想道路を川に挟まれたあたり)が旧黒埼町となる

くろさき茶豆の産地として知られる旧黒埼町(現在の西区の一部)が2001年1月1日に新潟市に編入合併されて、まもなく20年が経つ。この20年間、旧黒埼町エリアの人口に大きな変化はない。だが、旧黒埼町内での人口増減は地域によって異なり、地域内で明暗が別れた格好になっている。

人口が増加した山田、立仏小学校区

旧黒埼町には4つの小学校区がある。

新潟市南区や三条方面に位置する「黒埼南小学校」と「大野小学校区」(両小学校区の町名は、大野町、板井、大潟、緒立流通1・2、金巻、木場、小平方、北場、黒鳥、鳥原の一部、鳥原新田、流通1〜3)。

新潟市中央区方面に位置する立仏小学校と山田小学校区(両小学校区の町名は、立仏、寺地、ときめき西1〜4、ときめき東1、鳥原の一部、山田、善久)。

この2つの人口数を新潟市の町名別住民基本台帳人口で比較してみると、黒埼南小学校と大野小学校区の人口が9,458名(平成20年2月)から8,304名(令和2年1月)に減少した一方で、立仏小学校と山田小学校区の人口は1万2,761名(平成20年2月)から1万3,914名(令和2年1月)に増加した(※)。

(※)なお両方に含まれている鳥原(5,381名から5,317名に減少)と、統計に出てこない流通1〜3は除いている。

山田、立仏小学校区の人口が増加した理由の一つとしてあげられるのが、新潟バイパス 新潟西インターチェンジや、北陸自動車道 黒埼インターチェンジにも近く、交通アクセスがよいことだ。「このエリアから勤務先(新潟の場合、中心街とは限らない)へ通勤する人に加え、交通の結節点にもなっていることから、このエリアには流通系の企業も立地し、そうした企業に勤めている人も多い」と地元の人は話す。

また、国道8号線付近には、新潟ふるさと村、コメリハード&グリーン黒埼店、原信黒埼店、清水フードセンター黒埼店のほか、飲食店がたち並ぶ。また「西区の小針にあった有名塾が移転したりもしている」(前出・地元の人)という。商業施設が軒を連ねる亀貝エリアもすぐ近くだ。

商業施設だけでなく、済生会新潟病院、新潟脳外科病院、新潟市民病院も近くにあり、医療環境も充実している。

さらに、すぐ近くには河川が流れていて河川敷公園や、信濃川ウォーターシャトルの水上バス乗り場などもあり、「休日は車に乗らなくても楽しく過ごす場所が多い」(同)という。

国道8号線付近には、新潟ふるさと村、コメリハード&グリーン黒埼店、原信黒埼店、清水フードセンター黒埼店のほか、飲食店がたち並ぶ

ただ、こうした利便性にもかかわらず、西区内の他の地点と比べても地価(固定資産も)も安くなっていて、人気を呼んでいるのだ。「若い人が土地を欲しがるエリアになっていて、若い人の人口が増えている。また大手企業の幹部などでこのあたりに移り住んできた人も多い」(地元不動産関係者)という。

【関連サイト】
令和2年度新潟県地価調査 標準価格一覧表

新潟市西区 2020年[令和2年] 基準地価

実際、このエリアの住宅街を回ってみると、建築後、それほど立っていないと思われる住宅があちらこちらに建っている。

一方、旧黒埼町の中心である大野町は中ノ口川の舟運を発展してきた。そして今も、新潟市西区役所黒埼出張所、黒埼図書館、中学校、商店街、銀行、郵便局などが集まっている。

だが、大型商業施設の勢いなどに押され、商店街は全国の多くの商店街と同様に活気を失っている印象を拭えないのが実情だ。

新潟市西区役所黒埼出張所

旧黒埼町、新潟南区方面には(旧亀田町などにある)軌道系交通がなく、公共交通が脆弱なのが難点という指摘もあるが、旧黒埼町の中央あたり(大野町からも近い)には「鳥原バス停」や、このバス停に停車する高速バス(新潟〜東京、名古屋、大阪方面など)を利用したパーク&ライド用駐車場(400台)もあり、新たに移住してくる人を獲得する可能性はあるという指摘もある。

実際、鳥原を歩いていると、軒下に干し大根を吊るした昔ながらの家の隣に、建っても間もない瀟洒な家が並んでいる光景をあちらこちらで見かけることから新たに移転してくる人も一定人数いると思われる。

鳥原バス停

パーク&ライド用駐車場

旧黒埼町のグーグルマップ

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