冬でもお尻温か湯河原駅 商工会女性部が座布団、92年から毎年

ホームの椅子に座布団を取りつける湯河原町商工会女性部の役員ら=JR湯河原駅

 冷え込む季節に心遣いでぬくもりを感じてもらおうと、神奈川県の湯河原町商工会女性部が1日、JR湯河原駅ホームの椅子に座布団を設置した。1992年から毎年実施し、今年は鉄道関係功労者として国土交通大臣表彰を受けた。同部は「ずっと続けたい」と意気込んでいる。

 同部の女性役員8人が手分けし、同駅ホームに設置された椅子55脚に、町の木・ツバキをあしらった座布団を丁寧に結び付けた。座布団のカバーは町内の呉服店が手掛け、青色と黒色の2種類。2週間に一度、洗濯のため交換する。

 町内の旅館に夫婦で宿泊し、電車で帰宅するさいたま市の鳥海正昭さん(75)は「座り心地が良いし、座布団を付けてくれた気持ちがうれしい。また来たい」と喜んでいた。同駅の日向野ひがの博子駅長も「お客さまのことを考えた温かいおもてなしに感謝の気持ちでいっぱい」と話している。

 座布団は「冬場の利用客のため、椅子の座面の冷たさを和らげよう」と始まり、毎年この時期から3月末ごろまで設置している。当初は旅館などで不用になった毛布やマットレスを有効利用し、座布団にしていたという。

 今年10月14日の「鉄道の日」には、長年の努力が評価され、赤羽一嘉国交相から表彰された。同部の石井妙子部長(68)は「代々の取り組みが実り、うれしい。湯河原ならではのぬくもりを感じてもらい、また訪れてもらうことにつながれば」と期待している。

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