アリアナ・グランデ『ポジションズ』今日の私は明日の大統領かもしれない

 17年5月マンチェスターのコンサートで起こった爆弾テロを契機に、ポップシンガーの殻を破り人々の心を癒し女性の自立をサポートする大人のシンガーに変身したアリアナ。『thank u, next』に続く2年ぶり6枚目の新作です。

 あらゆる差別に反対し、ライヴ会場には有権者登録ブースを設け若者に政治参加を呼び掛けるアクティヴィストでもある彼女。今回の大統領選に向けてどんなアルバムをリリースするのか注目されていましたが、意外にも内容は過激ともいえる大人のラヴ・ソング集。社会的なメッセージを発信している作品はないのですが歌詞の中には性差別に対する彼女の考えを隠喩した作品が見受けられます。

 シングルでアルバム・タイトル曲でもある「ポジションズ」のMVではアリアナ自身が米大統領を演じタイトル通り現代の女性のあるべき社会的な立ち位置(ポジション)を訴えています。アメリカで初の女性副大統領が生まれた記念すべき時と同じくして全米1位に輝きました。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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