【写真特集】小惑星探査機「はやぶさ2」帰還 6年、52億キロの宇宙の旅

地球に向けてカプセルを切り離すはやぶさ2の想像図(JAXA提供)

 打ち上げから6年、52億キロに及んだ旅を終え、探査機はやぶさ2が地球に帰還する。約3億キロ離れた小惑星りゅうぐうで採取した砂や石が詰まったカプセルを地球に投下。カプセルは6日午前、オーストラリアの砂漠に着地する。地球以外の天体から資料を持ち帰る「サンプル・リターン」は、初代はやぶさに続いて2回目の偉業。はやぶさ2はカプセル投下後、休む間もなく別の小惑星に向かう予定だ。(47NEWS編集部)

 2014年12月、はやぶさ2を搭載したH2Aロケットが鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載して打ち上げられるH2Aロケット26号機=2014年12月3日、鹿児島県の種子島宇宙センター

 3年半後の2018年6月、計32億キロの旅を経て、小惑星「りゅうぐう」近くの目的地に到着した。

はやぶさ2と小惑星りゅうぐうのイメージ(JAXA提供)

 はやぶさ2から放出した小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台が9月、りゅうぐうに着陸。世界で初めて小惑星表面を移動、写真撮影にも成功した。

はやぶさ2から放出された小型探査ロボット「ミネルバ2」のイメージ(JAXA提供)
岩だらけの小惑星りゅうぐうの表面。小型探査ロボット「ミネルバ2」が撮影(JAXA提供)

 2019年2月、はやぶさ2は小惑星りゅうぐうへの着陸に成功。2005年に小惑星イトカワへ着陸した初号機に続く快挙で、JAXAの久保田孝教授は「完璧なミッションができた」と語った。

小惑星りゅうぐうに着陸し、岩などを舞い上げ再び上昇する探査機はやぶさ2。中央の丸い部分は、はやぶさ2の底部から下にのびる円筒形装置の先端部(JAXA提供)

 4月には、りゅうぐうの表面に金属弾を撃ち込み「人工クレーター」をつくる世界初の実験に成功。7月に2回目の着陸を果たし、地下の物質を採取するという世界初の成果を打ち立てた。

探査機はやぶさ2が、小惑星りゅうぐうの表面につくったクレーターの画像(JAXAなど提供)

 JAXAは予定していた主要な任務をほぼ全て成功させたと発表。計画責任者の津田雄一准教授は「太陽系の歴史のかけらを手に入れた」と成果を強調した。

管制室で記念撮影するJAXA職員ら=2019年7月11日、相模原市(JAXA提供)

 はやぶさ2が採取した地下の岩石は太陽風などによる変質が少なく、46億年前に太陽系が誕生した頃の特徴をとどめている。太陽系の形成過程の一端が分かってくるかもしれない。

はやぶさ2が小惑星りゅうぐうで採取した試料を格納するカプセル(はやぶさ2搭載前、JAXA提供)

 2019年11月にりゅうぐうを出発したはやぶさ2は、まもなく地球に帰還する。2回の着陸で入手した岩の破片入りカプセルははやぶさ2から放出され、6日未明、オーストラリア南部ウーメラ近くの砂漠に着地する予定だ。

探査機はやぶさ2が地球に帰還し、回収カプセルを放出する様子のイメージ(JAXA提供)

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