みんな大好きモーターヘッド、速く激しくロックンロール! 1980年 11月8日 モーターヘッドのアルバム「エース・オブ・スペーズ」が英国でリリースされた日

これぞヘヴィメタル、モーターヘッドの頭蓋骨粉砕音楽!

私が中学生時代の後わり頃、ブリティッシュHR/HMを知ったあたりから、より速く激しい曲を演るバンドを求め出しました。その頃、“Skull Smashing Music” を標榜したバンド、モーターヘッドを雑誌のレビューで知りました。直訳すれば、“頭蓋骨粉砕音楽”。否が応にも期待が高まります。

実際に音を聴いてみると期待を裏切らない、ハイ~ミデイアムテンポのゴリゴリに歪んだカッコいいリフとダミ声ヴォーカル。まさしく「これぞヘヴィメタル!」でした。私が聴いたのは、ちょうどアルバム『エース・オブ・スペーズ』がリリースされた時でしたが、モーターヘッドのデビューは1977年、ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルのムーブメント前夜といったところでしょうか

中心人物として、モーターヘッドといえばこの人… なのがベーシストでリードヴォーカル、ほとんどの曲を手掛けるリーダーのレミー・キルミスターです。

メタルのゴッドファーザー、レミー・キルミスター

この、レミー・キルミスターは、モーターヘッドというバンドの枠にとどまらず、ヘヴィメタルという大きな括りのド真ん中にいる人で、例えばメタリカのジェームス・ヘットフィールドをしてこう言わしめる存在。

The Godfather of Metal, whether he likes or not, he is.
(レミーは)ヘヴィメタルのゴッドファーザー。本人が嫌がろうが何だろうが否応なく、それは彼なんだ。

実際レミーは、ヘヴィメタルのバンドはあまり好きじゃなくてラモーンズとかの方が好きだし… などとコメントしていたらしいのですが、それを知った上で、敢えての “否応なくゴッドファーザー” 発言なんでしょうね。

僕の全くの独断と偏見によれば、1970年台半ばのパンクスは大袈裟に言えば “生き様” で、自分に真っ正直で純粋(素顔は不器用でシャイだったりしますが)、他方でヘビメタさんは大なり小なり纏い装って演じる… という見立て。だから “お笑い悪魔メタル” から “クリスチャン・メタル” まで何でも有りです。たぶんヘビメタさんは長髪を後ろで束ねてコンビニで「いらっしゃいませ~」と愛想笑いしながらバイトとかできちゃうのです。

メタルはパンクに憧れるけど、パンクはメタルに興味無しという、メタルからパンクへの一方的な片想い。そんな中で一番パンクスに近いのが無骨なレミーなのではないかと思い込んでいる次第です。

パンクを演ってもカッコいいメタル、それがモーターヘッド!

実際のところ、レミーは自らをカテゴライズせず、一貫してこう言い続けていました。

We’re Motorhead. We play rock’n’roll.
俺たちモーターヘッドはロックンロールをプレイしてるんだ

そんなレミー率いるモーターヘッドがカバーした「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」。彼の国もEU離脱で本当に “No Future” な感じになりつつありますが、パンクロックを演っても断トツでカッコいいヘヴィメタルバンドがモーターヘッドだと思うのです。

例えば、エディ・ヴァン・ヘイレン追悼インタビューでスティーヴ・ヴァイが語ったところによれば、この2人のギタリストが最後に顔を合わせたのがモーターヘッドのバックステージとのこと。実はみんな、大なり小なりモーターヘッドに憧れてるんじゃないんですかね。

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