大山の宿坊、カフェで新風 反響に手応え

宿坊にカフェを開設した「大滝荘 たけだ旅館」の武田安司さんと由加里さん=伊勢原市大山

 神奈川県伊勢原市大山の宿坊「大滝荘 たけだ旅館」に市内の宿坊で初となるカフェがオープンした。宿坊の減少が続く中、若年層をはじめ幅広い世代に立ち寄ってもらうきっかけにしたい考えだ。

 11月1日にオープンしたのは「Cafe Takeda」。宿坊2階の客室などを活用し、テーブルやカウンター席、2人用の個室などを設けた。手作りしたステンドグラスのランプを用いるなど、雰囲気づくりにも意を用いた。近くを流れる鈴川のせせらぎも聞こえ、この時期には窓外の紅葉を楽しむこともできる。

 「大滝荘 たけだ旅館」は古くから大山詣(まい)りに訪れる人々をもてなし続けてきた。ただ、近年は「先導師旅館」と呼ばれる大山の宿坊自体が、担い手の高齢化や後継者不足などで減少傾向。市観光協会によると、明治期にはおよそ80軒あったが、今年3月時点では29軒に。10年前と比べても20軒近く減少したという。

 宿坊の良さを継承しつつ新たな魅力を発信しようと、大山先導師会旅館組合長でもある同館の武田安司さん(65)がカフェ開店を発想した。

 開店から1カ月を経過したが、「季節のシフォンケーキとコーヒーのセット」など、カフェ定番のメニューに加え、大山名物の豆腐を使った弁当なども提供。妻の由加里さん(59)は「若い人はもちろん、幅広い世代が来てくれ、反響は予想以上」と手応えを感じている。12月はクリスマスにちなんだメニューを企画するなど、模索を続ける。

 武田さんは「カフェで宿坊に新風を吹き込み、宿泊客を増やしたい。大山の魅力も発信していきたい」と意気込む。

 カフェの営業時間は午前11時~午後4時(12月27日~1月3日は休業)。問い合わせは、大滝荘 たけだ旅館電話0463(95)2027。

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