<金口木舌>県民が求める幸福とは

 シンクタンク日本総合研究所がまとめた「都道府県幸福度ランキング」2020年版によると、1位は福井県。4回連続で首位である。幸福度を測る5分野50の指標のうち「仕事」と「教育」が1位であることが要因という

▼さて、気になるのが沖縄県の順位。どうだろうか。前回と同様の45位。最下位は今回も免れた。低位が続いている要因は若者完全失業率、正規雇用者比率、待機児童率、学力など「仕事」「生活」「教育」の3分野で全国最下位だったことが影響する

▼雇用環境の不安定は、復帰後からの課題である。生活基盤を脆弱(ぜいじゃく)にし、県民所得や大学進学率、持ち家率などの低さに波及する

▼真逆の結果を示す順位もある。ブランド総合研究所が実施した住民による都道府県の評価調査で、県民の生活満足度は1位だった。幸福度、愛着度、定住意欲度は2位といずれも上位である。統計データには表れないが、県民の幸福実感が高いということだろう。県民のひとりとしてその結果に納得できる

▼ただ、調査では「貧困をなくそう」と回答した人も約6割に上り、2位の東京都の2倍だったという。県に貧困対策を求める声は高まっている

▼幸福は一概に測定できるものではないかもしれないが、ランキングから見えるものもある。県民にとっての幸福とは何か。追求すべきことはすでに見えている。

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