【社会人野球】打線に爆発力もつホンダか、投打にバランスのNTT東日本か…都市対抗決勝の展望

ホンダ・佐藤竜彦(左)とNTT東日本・堀誠【写真:鳥越涼芳】

新人選手に贈られる「若獅子賞」の行方にも注目

第91回都市対抗野球大会の決勝が、3日18時から東京ドームで行われる。打線に爆発力を秘めた狭山市代表・ホンダと、投打にバランスの取れた東京都代表・NTT東日本が激突。優勝チームに贈られる最高の栄誉・黒獅子旗はどちらのチームが手にするのか――。

コロナ禍で春先から公式戦が続々と中止に。活動自粛で練習もままならないチームや企業の野球部として存続の是非を問われたチーム……。アマチュア最高峰と呼ばれる社会人野球のプライドをかけて32チームがしのぎを削った12日間の熱闘もいよいよクライマックスを迎える。

ホンダはここぞでつながる打線に注目だ。初戦で大阪ガスに12-5で大勝。昨季の日本選手権で最高殊勲投手に輝いたエース右腕・阪本を序盤に攻略し、波に乗った。2回戦では、ドラフト指名された2投手を擁するENEOSと、壮絶な延長タイブレークの末にサヨナラ勝ち。3回戦では先発した新人・朝山広憲投手が7回13奪三振無失点の好投で西部ガスを退けた。準々決勝のセガサミー戦では、9回1死から同点に追いつき、タイブレークの末逆転勝ちで決勝に駒を進めた。

今大会全試合で4番に座る佐藤竜彦外野手がカギを握る。ここまで7打点を叩き出しているチームの主砲に走者をためて回せるかが、勝負の行方を左右する。投手陣では、準決勝でベンチ外と温存した朝山が、大一番でどんな投球を披露するか注目したい。

全32チームのしんがりで登場したNTT東日本は、初戦のJR北海道硬式野球クラブ戦に6-1で快勝し、2回戦でも強打のヤマハを相手に11-1で7回コールド勝ち。飯塚智広監督が4番に抜擢した新人の火ノ浦明正外野手を軸に、切れ目のない打線で効率的に得点を挙げてきた。3回戦の四国銀行戦でも8-0で完勝。準決勝では一転して日本新薬と緊迫した投手戦になったが、ワンチャンスをものにし1-0で逃げ切った。

準決勝までの4試合で許した失点はわずかに2点と、盤石の投手陣が特徴だ。4年目の堀誠投手、6年目の沼田優雅投手と左右のエースに加え、13年目のベテラン・大竹飛鳥投手も健在。救援陣も充実している。打線では1番を打つ向山基生外野手の出塁が流れを決めそうだ。準決勝こそ4打数無安打と振るわなかったが、3試合で安打を放ち、本塁打も記録したパンチ力もある。

気になるのが大会で優れた活躍を見せた新人選手に贈られる「若獅子賞」の行方だ。ホンダは朝山(法大)をはじめ、野手でも新人の千野啓二郎(東海大)、津田翔希(東洋大)、檜村篤史(早大)の3人の内野手が揃ってスタメン入り。特に千野は、4試合で13打数6安打と当たっている。NTT東日本は4番に座る火ノ浦(専大)も2回戦で本塁打を放つなど存在感をアピールした。

決勝に進出した以外のチームでも新人選手は躍動。日本新薬の船曳海外野手(法大)、ホンダ熊本の山本卓弥外野手(亜大)などリードオフマンの活躍が目立った。セガサミーの大内信之介内野手(上武大・JPアセット証券からの補強)は3回戦まで全ての試合で安打を放ち、チームの4強進出の原動力になった。

過去5年間で受賞した12選手のうち、7選手がドラフト会議での指名を勝ち取るなど、プロ入りへの登竜門ともいえる若獅子賞。受賞者は決勝戦終了後に発表される。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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