【愛犬と共に暮らす】ペットのためのリノベーション事例と費用を解説

最近は夏の気温上昇や突然の大雨・雷など屋外環境が過酷となっており、ペットの室内飼いが増えています。それと同時に飼い主と愛犬がより安全に暮らせるように室内をリフォーム・リノベーションする事例も増加。では実際に飼い主と愛犬が安心して一緒に過ごせる住まいとはどのようなものでしょうか? こちらではペットのためのリノベーション事例とその費用を解説します。

人とペットが快適に生活できる空間をつくる

室内飼いの愛犬が安心して暮らせる住宅にはどのようなアイデアがあるのでしょうか? 床は滑りにくく、表面が柔らかい耐久性のある素材を使うと犬の股関節への負担が軽くなります。壁紙も汚される可能性があるため、腰壁を設置して壁をカバーする、珪藻土の壁にして汚れたら部分的に補修できるようにするなどの対策も可能です。

住宅の間取りを変えて、散歩から帰ってきた愛犬がすぐに足を洗えるスペースを玄関横に作ったり、テレビボードの下などを使って専用の居住スペースを作るなどすれば愛犬のストレスも低減。家族のそばで安心してリラックスできるスペースはペットにとっても好きな場所になります。リノベーションによってスペース効率がよくなれば、愛犬はもちろん愛犬家にとっても住みやすい自宅が実現します。

場所別:ペットと快適に暮らすリフォーム・リノベーション事例

愛犬と快適に暮らすためのリフォーム、リノベーションのポイントを抑えていきましょう。住宅リフォームには以下のような場所に重点的に手を入れると効果的です。

  • 床材の取りかえや壁材の変更
  • 玄関のリフォーム
  • 愛犬専用のスペース設置
  • 愛犬のための用具保管スペース
  • 愛犬用のシャワースペース
  • 愛犬専用通路

予算や工期などによりどこまでリフォームできるかが変わってきます。予算に余裕がない方は、床材や壁紙の変更で愛犬にとって住みやすいスペースづくりから始めてみましょう。

屋内(リビング・ダイニング)のリフォーム内容と費用

室内で愛犬を飼育するならやはり優先させたいのは安全性です。キッチンは火を扱う場所だけに事故が多く、大型犬はコンロの近くまで立ち上がることも。愛犬に火傷などのケガがあってはいけません。そこで愛犬にとって安全なLDKにするためのリフォーム内容と費用相場を確認しましょう。

  • 愛犬の動きを見守りためにキッチンを対面式に変える……約50万~150万円
  • ガスコンロをIHクッキングヒーターに変更する……約10万~25万円
  • リビングの壁に腰壁設置……1万~2万円/m(高さは約90cm)
  • 床をクッションフロアに取りかえる(約8畳)……約15万~25万円
  • 和室をLDKの一部として間取りの変更を行う……約40万~100万円

これらの金額はあくまでも目安です。実際にリフォームやリノベーションをおこなう際には施工業者との確認が必要となります。

床材はペットが滑りにくいものにする

犬の年齢がまだ若い場合はあまり気になりませんが、年をとった愛犬は足腰が弱くなり歩き慣れた床材でも滑る・転ぶなどのトラブルを起こすことも。できるだけ愛犬に負担をかけない優しい床材で、安心して暮らしてほしいと思うでしょう。最適なフローリングの素材としては以下のようなものがあげられます。

  • 無垢材フローリング(スギ、ヒノキ、パインなど)
  • クッションフロア
  • コルクタイル
  • 防音フローリング
  • カーペット

スギ、ヒノキのような針葉樹は柔らかくケガをしにくい素材ですが、柔らかさゆえに傷がつきやすいのが欠点です。寒い季節はストーブやファンヒーターで暖を取ることもありますがストーブは愛犬が倒してしまうリスクがあり、またファンヒーターは抜け毛が部屋中に巻きあげられることからペットと同居する方の暖房器具としては向いていません。

安全に暖をとらせてあげたいなら床暖房がおすすめです。犬は寒さより暑さの方が堪えるため、夏場はタイルを貼った土間をつくり、そこでリラックスできるように配慮してあげるのがおすすめです。

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部屋のインテリアに合わせたカーペットを敷くのもおすすめ

部屋のインテリアや色味に合わせたカーペットを床に敷き詰めるのも良いアイデアです。カーペットは無垢材のフローリングよりもクッション性が高く愛犬の足腰にもかなり優しい素材。ナチュラル系インテリアの自宅であればベージュやライトブラウンなどアースカラーを中心に選ぶと雰囲気にマッチします。

もし愛犬が粗相をしてしまい、その部分だけを洗いたい方はタイルカーペットを敷く方法もおすすめです。廊下や部屋全体にカーペットを敷き詰めると粗相をしたときにシミになり残ってしまいます。タイルカーペットなら汚れた部分だけを抜きとって洗濯できるのでシミや臭いが残らず便利です。

犬の動線も考慮した間取りにする

人間と愛犬がともに満足できる住宅にするには、犬の「動線」も考えた間取りが大切です。愛犬は家のなかでじっとしているとストレスが溜まってしまうため、家のなかに回遊できるスペースや動線を確保しておくとよいでしょう。比較的広いLDKや廊下を自由に行き来できるような通路を設計し、雨の日や寒い時期は広いスペースのなかで走れるように工夫しましょう。ほかにも以下のような工夫ができます。

  • 洗面所でグルーミングできるスペースを確保する
  • 人の動線と干渉しない場所にトイレスペースを設置する
  • 外の様子がわかる小窓を設置する
  • 愛犬専用の休憩スペースを設置する(テレビボードの下や玄関下など)

壁のリフォーム内容と費用

犬や猫は壁を爪でひっかく習性があります。そのため何の対策もしていないと壁がボロボロになってしまう可能性も。対策としては汚れや傷がつきにくい壁材への取り換え、腰壁の設置、臭いや湿気を吸収する素材で壁を保護しましょう。ペット用の特殊強化された化粧シートや珪藻土壁などいくつか商品がありますので、自宅の用途や予算に合ったものを選んでいきましょう。こちらでは壁のリフォーム内容とその費用についてまとめています。

壁紙がキズがつきにくいものにする

爪でひっかかれるとすぐにボロボロになってしまう壁紙。ひっかき傷を予防する方法は以下のようになります。

上下貼り分けクロスは中帯(トリム)が入ると価格があがりますが、もし不要であればペット用壁紙クロスと費用は変わりません。

消臭効果や調湿効果のある素材を選ぶ

愛犬がいるとどうしても気になるのが臭いです。どれだけきれいにブラッシングしても犬特有の臭いをゼロにすることはできません。愛犬の臭いが気になりお客様を呼べない、という方も。そこで壁紙に消臭や調湿効果のあるものを選ぶと、愛犬の臭いがかなり低減されます。

防臭を考えた商品にはほかにも「天井埋込み型の空気清浄機」や「天井換気扇+自動センサー」など本格的な空気清浄機を設置する方法もあります。

玄関、庭のリフォーム内容と費用

boobee.88さんのインスタグラムより

愛犬を家の外でも遊ばせてあげたい、と考えているのなら庭に注目。散歩だけでは思う存分遊ぶことができないこともあるため、広さに余裕がある場合は自宅にドッグランスペースやウッドデッキをつくり、愛犬が自由に遊べるスペースをつくってあげると良いでしょう。

ただし、玄関から愛犬が勝手に飛び出さないよう対策することも必要です。玄関には門扉を設置し、庭やベランダは目隠しフェンスで隠す、庭にドッグランを設置するなどのリフォームが考えられます。以下ではそれぞれのリフォームの内容とおおよその予算についてチェックしていきましょう。

土間のスペースを拡張:20万~30万円前後

土間スペースが広いと散歩から帰ってきた愛犬がゆったり過ごせるのはもちろん、足を拭いたり夏の季節は涼しい土間の上で横になったりと過ごしやすくなります。玄関土間の拡張は3畳程度で約20万~30万円前後目安です。

玄関・土間リノベーションについてインテリアコーディネーターに相談

ドッグランスペースをつくる:10万~100万円目安

oko__rona_6705さんのインスタグラムより

庭で愛犬が自由に遊びまわれるドッグランスペースを設置される方も多くいます。ドッグランを取り入れるリフォームには、まず庭を目隠しフェンスや外構フェンスなどでまわりを囲い、芝生や土を入れて愛犬が走りやすい環境に整えてあげましょう。芝生は天然芝と人工芝があり、天然芝は手入れの面で手間がかかるため人工芝を採用される方も少なくありません。ドッグラン設置費用は、庭の広さや設備内容によって異なりますが、約10万~100万円前後が目安となります。

目隠しフェンスを設置:1m当たり7000~4万円前後

boobee.88さんのインスタグラムより

庭やベランダに愛犬の遊び場があると、家の塀や門扉を飛び越えて道路に飛びだす可能性があります。道路に出た愛犬が行方不明になったり交通事故にあうリスクはゼロではありません。安心して庭で遊ばせてあげるためにも、安全対策としてフェンスの設置は必須です。

boobee.88さんのインスタグラムより

フェンスの高さはボーダーコリーなどは中型犬でも180cmの高さを飛び超えてしまうこともあり、犬種や大きさによって高さを調整しなければなりません。小型犬のトイプードルでも100cmジャンプした記録もあるため要注意です。

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門扉を設置する:20万~50万円前後

自宅の周囲を壁やフェンスで囲っていても、玄関に門扉が設置されていないケースもあります。門扉がないとそこから愛犬が飛びだしてしまうリスクがあり、門扉を設置することで行方不明や交通事故、噛みつきなどを予防できます。門扉を新設する場合の費用は、約20万~50万円前後が目安です。

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ペット専用のリフォーム内容と費用

愛犬と飼い主が気持ちよく生活するためには、愛犬が喜ぶ専用スペースや専用設備を設置するのがおすすめです。たとえば、愛犬専用の足洗い場やシャンプー台、ドッグスペース、ペット専用のドアを設置すると愛犬も清潔に暮らせますし、飼い主の自宅内をきれいに保つことができます。以下ではペット専用リフォームの内容と費用を紹介します。

ドッグスペースを設ける:20万~100万円目安

rai_ryu_kouさんのインスタグラムより

基本的に犬は家族のそばにいるのを好みますが、ひとりでゆったりとくつろげるスペースがあるとより安心します。犬の先祖は岩穴や洞窟など周囲を囲まれた場所で過ごしていたため「周囲を囲われた場所」にいると自然と落ち着くのです。

royshouse2020さんのインスタグラムより

LDKなどの部屋のなかに愛犬がゆったりくつろげるスペースを確保してあげましょう。テレビボードの下や階段の下、LDKの収納場所を一部改修してドッグスペースをつくることが可能です。天井を低くすることで犬にとって落ち着く空間が実現できます。ドッグスペースの新設する場合の予算目安は、スペースの大きさや規模によりますが、約20万~100万円前後となります。

シャンプー台を設置:25万~40万円前後

自宅の洗面台を愛犬を洗える大型の洗面台に取りかえておくと、飼い主だけではなく愛犬のシャンプー台(洗い場)にもなり便利です。大型の洗面台を設置すればトイプードルやミニチュアダックスフンドなどの小型犬なら余裕で洗えます。散歩から帰ったあとに足を洗ってサッと汚れを落とすことも可能。水栓をシャワー対応に変える、さらにシャワーを自由に動かせるとさらに便利です。

ペット用のドア設置:2万~10万円前後

リビングやダイニングのドアを締め切ると愛犬がLDKに閉じ込められてストレスが溜まってしまったり、トイレスペースが別の場所にある場合は自由に行き来ができないなどのトラブルも。そんなときは真夜中であっても、ドアを開けておかなければなりません。

真夏や真冬の時期はエアコンを使用してることも多いため、暖気や冷気が部屋の外に拡散し効率も大幅にダウンしてしまう可能性があります。そこでドアに愛犬専用のペット用ドアを設置すれば、真夏や真冬、真夜中でもドアをしっかり閉めたまま生活できます。

ワンちゃんと暮らすなかで注意したい「トラブル対策」とは?

愛犬と過ごすうえで欠かせないのが「周囲の方々への配慮」です。夜中に吠えると近所迷惑になるため、窓を二重にするなどして防音対策をおこないましょう。マンションなどの集合住宅でも二重窓は認めてもらえることが多いため、愛犬の鳴き声対策は必須です。ほかにも愛犬が家のなかにあるものを噛む、壊すなどのトラブルも起こりえます。愛犬のトラブルを低減するための対策やその費用を解説します。

噛んだり、壊されたら困るものを見えない収納にする

好奇心旺盛な愛犬はキッチンやリビング、ダイニングにあるものを噛んだり壊すことがあります。とくに包丁やハサミなど危険なものが多くあるキッチンは要注意です。噛むとケガをするもの、壊されると困るものは普段から見えない収納を心がけましょう。リビングもいたずらされると困るものは引き出しなどの収納しておくと安心です。収納スペースをつくる際に多少の費用がかかりますが、既存のキッチンスペースや収納スペースを上手に利用すれば対応できます。

大きい鳴き声には防音対策をする

犬は見知らぬ人を見ると大きな鳴き声で威嚇することも。その声が隣近所の迷惑になるのも事実です。屋外で愛犬を飼育している方でも、夜はできるだけ家の中に入れて迷惑にならないようにしたいもの。室内での犬の鳴き声に効果的なのが防音対策です。既存のサッシの内側にもう一枚内窓を入れる、窓そのものを取り換えるなどの対策が有効。

内窓を入れると外気の熱や冷気が部屋に入ってきにくくなるので防音だけではなく冷暖房対策や省エネにもかなり有効です。また内窓を設置することで結露も予防でき、窓枠や窓回りを傷めるリスクも大きく軽減されます。

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