2021年へスーパーGT GT500&スーパーフォーミュラのシートに外国人ドライバーから熱視線?

 新型コロナウイルス感染拡大の影響に揺れた2020年。スーパーGTは11月28〜29日の第8戦富士でシーズンの幕を閉じたが、全日本スーパーフォーミュラ選手権はまだ残り3戦を残している状況。そんななか、現在ヨーロッパで活動している外国人ドライバーからこのふたつのシリーズに熱い視線が送られているという噂がある。まだ具体名が出せる状況ではないが、大まかな状況をお伝えしよう。

 近年、スーパーGTではDTMドイツ・ツーリングカー選手権との共通車両規定であるクラス1規定がGT500クラスに採用され、GTカーレースとしては屈指のスピード域をもつ。また、世界的に数が少なくなっているタイヤコンペティションが存在するカテゴリーだ。

 またスーパーフォーミュラは、こちらも世界的にシートが限られているビッグフォーミュラであり、“クイック&ライト”のコンセプトで作られたSF19シャシーは強烈なダウンフォースをもち、いまやF1のダウンフォースに慣れるには最適とも言われているカテゴリーだ。

 そんなふたつのカテゴリーが存在する日本で活動しようというドライバーが、現在日本の有力チームに数多くアプローチしていると噂されている。すでに契約に近いという噂もあるほどだ。

 スーパーフォーミュラで言えば、近年F1にステップアップするためにはビッグフォーミュラへの慣れ、さらにスーパーライセンスポイントを稼ぐことが必要になっているが、SFならチャンピオンを獲れば25ポイント(レベルから考えると低すぎる感はあるが)と、ある程度ポイントも稼ぐことができる。

 また、近年はFIA-F2やFIA-F3といったF1直下のフォーミュラカーのカテゴリーの参戦費用が高騰しているのも要因のひとつ。現在、FIA-F2を1年間戦うには数億円と言われるバジェットが必要とされると言われているが、より費用を持ち込まなければ良いチームに乗ることができない。そうでなくとも、シートを得るには強力な交渉力やバックボーンが必要となる。

 そんな状況のなか、FIA-F2のコストに比べると非常に安価に戦えるのがスーパーフォーミュラと言われており、近年ストフェル・バンドーンやピエール・ガスリー、ダニエル・ティクトゥム、セルジオ・セッテ・カマラといったドライバーが参戦するのは、比較的リーズナブルなコストで経験が積めることにある。

 そして2021年に向けては、これに加えてDTMドイツ・ツーリングカー選手権の規定変更が大きく影響しそうだ。DTMではアウディの撤退発表にともないクラス1規定の使用が2020年限りで終了。2021年からはGT3カーのレースへと変貌する。ただ、2020年まで出場していたドライバーのなかには、クラス1車両ではないレースへの参戦を望まないドライバーもおり、またDTM自体がプライベーター主体となることで、メーカーワークス契約が得られない可能性も高くなる。さらに、ワークス契約という点ではフォーミュラEでもメーカーの関与が減り始めており、今後予断を許さない。

 しかしクラス1規定は、日本には存在する。そしてスーパーGT GT500クラスで戦うことができれば、クラス1の経験を反映しながらタイヤ開発の知識、さらにうまくいけばワークス契約を得ることができる可能性もある。また、過去にはアンドレ・ロッテラーやロイック・デュバル、ブノワ・トレルイエもそうだったように、GT500では“ラップダウンの処理”を高いレベルで身につけることができ、WEC世界耐久選手権への好材料にもなる。

 そんななか、スーパーフォーミュラ、GT500というふたつのカテゴリーには、現在多くの外国人ドライバーから“打診”があると言われている。2020年にDTMに参戦していたドライバーやFIA-F2に参戦していたドライバーが複数人名前が聞こえ始めており、2018年までヨーロッパで戦っていて、2020年にスーパーフォーミュラとGT500を戦ったサッシャ・フェネストラズと仲が良い、2016〜2018年あたりにヨーロッパのジュニアフォーミュラでトップを争っていた同世代の実力派ドライバーからも関心があるのは間違いないようだ。もちろんフェネストラズからも日本の事情、東京での生活などの情報がいっているはず。

 当然、新型コロナウイルス感染拡大の影響による水際対策があり、このリスクを負うかどうかが日本チームにとっても、外国人ドライバー自身にとっても重要なポイントとなる。ただ、もし両カテゴリーのシートを得ることができれば、日本に住むことも選択肢として上がってくる。12月下旬にはスーパーフォーミュラのルーキーテストも予定されており、日本人の若手を含めどんなドライバーが名を連ねるのか、楽しみなところだろう。

2020年スーパーGT第8戦富士のスタートシーン

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