県内企業、電子契約へ移行 デジタル化、着実に進む

電子契約を導入したアイホーム。「パソコン上に保管できるので紛失などの心配もない」と宜野座俊彦社長

 県内の企業で電子契約に移行する動きが出始めている。コロナ下の非対面ニーズに対応できるほか、国が進めるペーパーレス化、「脱はんこ」の流れとも一致。推進する宮崎銀行(宮崎市)の後押しもあり、デジタル化の流れは着実に進みつつある。
 電子契約は、紙と印鑑で行っていた契約業務をオンラインで完結させる仕組み。仲介するサービス事業者のうち国内で8割のシェアを誇るのが、弁護士ドットコム(東京)の「クラウドサイン」だ。
 宮崎銀は、そのサービスを使っているSMBCクラウドサイン(同)と2月、パートナーシップ契約を締結。全国の地方銀行で初となる試みで、首都圏を中心とするクラウドサインが地方で導入されるのは珍しいという。
 サービスを紹介している顧客のうち、既に2社が電子化をスタートした。そのうちの一つ、注文住宅メーカーのアイ・ホーム(宮崎市佐土原町)は9月に開始。2万円前後の印紙代が浮くほか、パソコン上で保管もでき、「メリットしかない」と宜野座俊彦社長。来年初めには全面移行したい考えだ。
 同社は、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」にも力を入れており、電子契約も脱炭素への取り組みの一環と位置付ける。
 宮崎銀がこれまで紹介した顧客のうち、現在29社が導入を検討中。経営企画部IT戦略室の神田稔久室長は「全てが効率化につながり、今後スタンダードとなるだろう」と強調。「DX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術による業務やビジネスモデルの変革)のツールとしてお客さまへ届けたい」と話している。

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