30秒の蒸らしが肝心!おいしい「ハンドドリップコーヒー」の淹れ方

スペシャルティコーヒー専門店「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝さんによる連載「バリスタ直伝!コーヒーをもっとおいしく楽しむヒント♪」では、毎月1回コーヒーをもっと気軽においしく楽しむヒントをお届けします♪

おはようございます!「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝です。

コーヒーをもっとおいしく楽しむためのヒントを紹介する連載、2回目となる今回のテーマは「ハンドドリップでコーヒーを淹れる方法です。

おうちで豆からコーヒーを抽出するなら、まずは手軽なハンドドリップがおすすめ。その最大の特徴は、自分好みの味を作れる点にあります。

仕組みはいたって簡単。コーヒー豆を挽いた粉にお湯をかけると、フィルターを通して濾過されてコーヒーが出来上がります。シンプルがゆえにお湯の温度注ぎ方蒸らし時間などを変えることで簡単に味を変化させられます。

今日はそんなハンドドリップコーヒーを、よりおいしく作るためのポイントをお話しします。記事の最後では今月おすすめのコーヒー豆も紹介しますので、合わせてチェックしてくださいね。

30秒の蒸らしが肝心!おいしい「ハンドドリップコーヒー」の淹れ方

まずお伝えしたいのが、ハンドドリップコーヒーを抽出するときの大切なポイント。それは「蒸らしは丁寧に!」ということです。

ハンドドリップにはあらゆる方法(レシピ)があるのですが、この蒸らしはほぼ全てに共通するとても大事な工程。ハンドドリップ=蒸らしが大切というポイントを、ぜひ覚えておいてください。

必要な道具と材料は?

  • コーヒー粉(14g・中細挽き)
  • ドリッパー(今回は「ハリオV60」を使用。このドリッパーに合わせた注ぎ方で説明します)
  • フィルター
  • ケトルと90℃のお湯
  • サーバー
  • スケール(写真のようなデジタルはかりがあれば、お湯の量がわかりやすく便利です)
  • (あれば)温度計

今回は一人分(約200㏄)のコーヒーを抽出する方法を解説します。お湯の温度は、ハンドドリップの特徴に合わせて90℃にしています。「温度が測れない」という方向けの簡単な方法もお伝えしますので、心配しないでくださいね。

ステップ1「お湯の準備」

1) はじめにケトルで500㏄くらいお湯を沸かしましょう

温度計やケトルの機能などで温度調整できる方は、ステップ2「抽出」へ進んでください。

温度計がない方は、沸騰したお湯に浄水50㏄を加えると、90℃くらいまで温度が下がります。冬場など、水温が低いときは加える量を加減してください。

ステップ2「抽出」

抽出は以下の流れ・時間配分で行います。かけるお湯の全量は約230㏄です。

開始~0:10 30㏄まで注ぐ(スケールで30gの表示になるまで)__

0:10~0:40 蒸らし30秒

0:40~1:00 100㏄まで注ぐ(スケールで30gの表示になるまで)

1:00~1:15 15秒待つ

1:15~1:35 230㏄まで注ぐ__(スケールで30gの表示になるまで)

1) フィルターとドリッパーにお湯をかけて温める

フィルターをドリッパーにセットし、お湯をかけて温めます。フィルターの種類によっては紙の味が強くなることが。お湯をかけることで、余計な雑味も同時に取り除きます。

2) コーヒー粉を入れて平らにする

コーヒー粉を入れたら、少しゆすって表面を平らにします。平らにすることで、注いだお湯を満遍なく粉に浸透させられます。

3) 1投目のお湯30ccを注ぐ

お湯をゆっくりと注ぎ、粉の中心から全体に30ccまわしかけたらストップします

お湯を優しく出しながら粉の表面を湿らすようなイメージで注ぐことがコツ。ケトルの注ぎ口からゆっくりお湯が出続けているのがベストです。ケトルの蓋を抑えるなど、両手を使うと安定しますよ。

(Tips)1投目は味の中心となる部分を抽出します。イメージとしてはコーヒーシロップ。味がとても強いのでそのままでは飲めません

4) 30秒蒸らす

ここで30秒しっかり蒸らすことで、コーヒー粉の全体にお湯を浸透させて味を引き出すための準備をします。はやる気持ちを抑えて待つことも、ハンドドリップでは重要な要素です!

5) 2投目のお湯100cを注ぐ

2投目は円を描くように、スケールを見ながら100ccまで注いでいきます。1投目より少しだけお湯の出す量を増やしましょう。

円の大きさは500円玉をイメージしてください。蒸らしたときに出来上がるコーヒー粉の壁を壊さないようにしましょう。

(Tips)2投目からはコーヒーらしい味わいの液体が抽出されます。ここで味の全体像を形作ります

6) 15秒待つ

ドリッパーの中のコーヒーが下に落ちるまで、15秒待ちます。

(Tips)待っていると次第にくぼみが見えてきます。ここでくぼみが中々見えてこない時は挽き目が細かすぎるということ。次に豆を挽くときは、少し粗く調整してください

7) 3投目で全部で230ccになるまで注ぐ

3投目で230ccまで注ぎます。今までの倍くらいのお湯を出すイメージで、中心からさっと注ぎましょう。コーヒーがある程度落ち切ったら完成です。

(Tips)3投目はバランスを調整しています。ここで抽出される液体はほぼお湯に近い味。気になる方はそれぞれの工程ごとに飲み分けてみても面白いですよ!

ポイント

  • お湯の注ぎはじめから完成まで1分半程度を目安にしてみてください。時間をかけすぎると必要以上の味や雑味が出てバランスが悪くなります
  • ハンドドリップは注ぎ始めから終わりまでで、全て同じ味が抽出されているわけではありません。そのために蒸らす工程や、お湯をかけるスピードを変える必要があります
  • 行程が多く「少し手間がかかりそう…」と感じるかもしれませんが、慣れると粉のセットから完成まで、2分程度でできます

ぜひ繰り返し試して、自分好みのおいしいコーヒーを完成させてださいね!

今月おすすめのコーヒーは「スマトラ」

自分でコーヒーを淹れるとき、抽出する器具にあわせてコーヒー豆を選ぶことで、さらに楽しみ方が広がりますよ。

たくさんの種類があるコーヒーの中で、特に今月ハンドドリップにおすすめしたいのは「スマトラ」です。

Scrop スマトラ マンデリン ソフィー

独特の気候条件から作られるコーヒーはスマトラ式と呼ばれ、しっかりとしたコクと香ばしい風味を持っています。冷めてくるとマンダリンオレンジのような酸味を感じることもでき、私がバリスタを務めるScrop COFFEE ROASTERSでは“中煎り~深煎り” でご用意しています。粉が膨らみやすいので、ハンドドリップが不慣れな方でも注ぎやすいコーヒー豆です。

相性のいい食べ物は、しっかりとした味付けの肉類、クリームを使ったケーキ類、スパイス風味のお菓子など。逆に、さっぱりとした食べ物やフルーツを合わせてしまうと、スマトラの味が強いため、お互いの良さを感じにくくなってしまいます。

スマトラは朝のベーコンエッグやミルクと割って飲むのもおすすめですよ。ぜひ試してみてください。

みなさんのモーニングコーヒーが、より上質なものとなりますように。それではまた次回お会いしましょう。

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