アフガンに散った医師・中村哲さんの偉業、絵本に 4日の命日に合わせ出版

中村医師の功績を伝える絵本「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」(双葉社)

 アフガニスタンで支援活動していた医師中村哲さん=当時(73)=が銃弾に倒れてから4日で1年。現地での功績を伝える絵本「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」の日本語版が、命日に出版される。原作を手掛けた現地NGOのザビーフ・マハディさんは、手にした子どもたちに「剣を振るう戦士ではなく、中村医師のような人に憧れてほしい」と願う。

 絵本は、村人たちに蔓延(まんえん)する原因不明の病が不衛生な水を飲んでいることなどにあると気づいた中村さんが、6年を要して水路を完成させる過程を紹介。苦難に直面しながらも「これ以上、子どもたちが命を落とすことがあってはならない」と、砂漠を緑の大地に変えた取り組みを伝える。

 マハディさんは、海外の絵本を翻訳し図書館などに無償配布するNGOガフワラの設立者。「無私の精神で、アフガニスタンの人のために尽力した中村先生の功績を残したい」と、今年5~6月に2冊の絵本を発行した。日本語版はこれを1冊にまとめた形で、翻訳には中村さんの追悼曲「ひと粒の麦~Moment~」を書き下ろしたシンガー・ソングライターさだまさしさんも携わった。

 双葉社(東京)が企画し、80ページ、1650円。売り上げの一部は中村さんが現地代表を務めたNGO「ペシャワール会」(福岡市)などに寄付する。

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