南米の望遠鏡が撮影した大小マゼラン雲の高精細な画像

セロ・トロロ汎米天文台で撮影された「大マゼラン雲」(Credit: CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/SMASH/D. Nidever (Montana State University))

こちらは地球からおよそ16万3000光年先にある天の川銀河の伴銀河のひとつ「大マゼラン雲」とその周辺を捉えた画像です。大マゼラン雲の中央左上(画像の上部中央やや左)には、有名な散光星雲「タランチュラ星雲(NGC 2070)」も写っています。

この画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」によって撮影されました。ダークエネルギーカメラは満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる画素数約520メガピクセルの巨大なデジタルカメラのような観測装置で、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主目的として開発されました。

ダークエネルギーカメラによる大マゼラン雲の観測は、大マゼラン雲やその近くにある別の伴銀河「小マゼラン雲」、それに大小マゼラン雲から伸びるマゼラニックストリームと呼ばれる構造などを調べているプロジェクト「SMASH(Survey of the MAgellanic Stellar History)」のもとで行われました。冒頭の大マゼラン雲の画像とともに小マゼラン雲を捉えた画像も公開されており、発表ではSMASHの観測によって大小マゼラン雲を構成する星々、ガス、塵に関する新たな視点が得られたとされています。

大マゼラン雲と小マゼラン雲の画像は米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)から2020年12月1日付で公開されました。NSFのGlen Langston氏は「専属チームの作業を通して、この美しい画像は大小マゼラン雲における130億年に渡る星形成の素晴らしい視野を与えてくれます」とコメントしています。

セロ・トロロ汎米天文台で撮影された「小マゼラン雲」(Credit: CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/SMASH/D. Nidever (Montana State University))

Image Credit: CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/SMASH/D. Nidever (Montana State University)
Source: NOIRLab
文/松村武宏

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