「核禁条約の波 広げる」 第23代高校生平和大使 広島で結団式

決意を新たにした高校生平和大使の結団式=広島市内のホテル

 核兵器廃絶を国内外に訴える第23代高校生平和大使の結団式が5日、広島市であった。長崎県を含む16都道府県から選ばれた新メンバーが出席し、来年1月の核兵器禁止条約発効に向け、「身近な人から、核兵器禁止条約の波を広げていきたい」などと決意を新たにした。

 結団式は例年、核廃絶の署名を国連欧州本部に届ける夏を前に開かれているが、今年は新型コロナウイルスの影響で延期になっていた。今期のメンバーは本県の6人を含む過去最多の28人。結団式にはこのうち、26人が臨んだ。
 平和大使を募集、派遣している市民団体の小早川健共同代表(69)が「地道な活動が世の中を変える。(核兵器廃絶に向けて)少しずつ前進してほしい」とあいさつ。広島市の平和記念資料館元館長で、被爆者の原田浩さん(81)の被爆体験講話や、各地の平和大使の活動内容についての学習会があった。
 取材に、被爆3世で県立佐世保北高2年、中原葉さん(17)は「コロナ禍で思うような活動ができないが、学校など身近な人から核兵器禁止条約の波を広げていきたい」と力を込めた。岩手県立釜石高2年、太田堅さん(17)は「『米国が悪い』だけではなく、日本の加害の歴史など多方面から戦争について考え、平和の大切さを伝えたい」と話した。
 平和大使は1998年、被爆地長崎で生まれ、その後、全国公募になった。今年も受賞はかなわなかったが、3年連続でノーベル平和賞候補に挙がった。
 16日は中満泉国連事務次長とオンラインで対談する予定。

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