伊藤英明似や田中将大似も… 楽天投手陣の再建はドラフト上位4人がカギ?

新入団選手発表会見に臨んだ楽天のドラフト指名7選手【写真提供:楽天野球団】

今季チーム防御率リーグ5位“即効性”ある投手を渇望

来季の命運を握っていると言っても過言ではない――。楽天は5日、本拠地・楽天生命パーク宮城で、ドラフト会議で指名した7選手(育成1人を含む)の新入団会見を開いた。ドラフト1位で最速155キロ左腕の早大・早川隆久投手をはじめ、7人中6人が投手。しかも上位4人は大学や社会人を経た即戦力候補だ。今季はリーグトップのチーム打率と総得点を誇った一方で、リーグ5位のチーム防御率の投手陣が4位に沈む要因となっただけに、“即効性”のある投手を渇望している。

楽天投手陣は今季最多勝に輝いた涌井や則本昂、岸と実績のある右腕がそろっているが、左腕が手薄。しかも、今季主に先発を務めた松井も来季の抑え復帰が決まったとあって、なおさら左の先発が足りない。早川はそこにピッタリ当てはまる。担当の沖原スカウトの「1年目から10勝する」という言葉が現実になれば申し分ない。

与えられた背番号は、今季限りで現役を引退した岩隈久志が球団創設の2015年から11年まで“初代エース”として背負った「21」。ここにも球団が寄せる期待の大きさが表れている。早川自身は、この日の会見で「開幕1軍に入り、新人王をとれるような選手になりたい」と目標を掲げた。早大で主将を務める責任感の強さで、自分の性格を「負けず嫌い」と評する。一方で「大学では“タカピー”と呼ばれていたので、そう呼んでいただければ」とお茶目な一面ものぞかせる。

楽天は2011年の東日本大震災で本拠地の仙台が深刻な被害を受けたが、当時小学6年だった早川も、出身地の千葉・横芝光町で被災した。高台にあった実家は床上浸水し、避難場所でもあった小学校で一晩を過ごした。この日も「被災地に行ってボランティア活動を行いたい」と強調。4球団競合の末に同じ左腕投手だった石井一久監督が引き当てた事といい、チームと強い縁を感じさせる。

ドラフト3位の藤井は早川にライバル意識「僕も相当な負けず嫌い」

「早川君も負けず嫌いだと言っていたが、僕も相当な負けず嫌いなので、早川君に負けないようにやっていきたい」。そうライバル意識をむき出しにしたのが、同じ左腕で最速150キロのドラフト3位、ENEOS・藤井聖投手だ。

木更津総合高時代に3度甲子園に出場し、東京六大学でも活躍した早川に対し、藤井は甲子園経験はなく、東洋大時代も0勝。ENEOS入社後に飛躍した。2歳下の早川との競争が、相乗効果をもたらす可能性は十分ある。一方で「僕自身は思っていないし、大変恐縮なのですが、周りからは俳優の伊藤英明さんに似ていると言われます」と、人気が出る要素も備えている。

ドラフト2位の法大・高田孝一投手は、最速156キロ右腕。コロナ禍による全体練習自粛期間中、倒立やブリッジなど自重トレーニングを取り入れ急成長した。9月の練習試合で自己最速をマーク。「1番自信があるのはストレート。それを売りにしていきたい」と言い切り、「ピンチでも動じない冷静なマウンドさばきが自分のスタイル」とアピールした。「休みの日に朝早く起きてカフェを巡るのが趣味」と言い、マイペースに成長するタイプなのかもしれない。

ドラフト4位の亜大・内間拓馬投手は、最速150キロを誇る右腕だが、むしろ「いろんな球種を駆使し、打者を見ながら配球を組み立てて抑えるのが自分の持ち味」と言う。球団OBの田中将大投手に似ていると言われるそうで、こちらも「自分では思っていないですし、恐れ多いです」と赤面しつつ、「チームの柱として、日本一を決める試合でマウンドに立たせてもらえるような投手になりたい」とマー君をほうふつとさせるような目標を掲げた。

4者4様、実力とユニークな面を兼ね備えている。チームの台所事情から言って、チャンスは多いだけに、誰がどんな活躍をするのか、来春のキャンプからが楽しみだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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