普段見られない名作が一堂に 「小田原市役所の美術品たち」展

井上三綱作「馬売図」(小田原市提供)

 神奈川県小田原市内の公共施設に何げなく飾られている「隠れた名作」を一堂に会し、鑑賞してもらおうと「小田原市役所の美術品たち展」が7日から、市役所2階市民談話ロビー前で開かれる。市所蔵美術品調査で作成された台帳に基づく初めての展覧会で、一般市民が入れない執務室などに飾られている作品などを見ることができる。

 美術展では、市議会議長室に飾られている「イルド・フランス」(戸樋谷哲生作)、教育長室にある「レッスン」(赤岩賢三作)など普段は見られない作品をはじめ、廣本了、柏木房太郎、横田七郎ら小田原ゆかりの作家の油彩画、日本画、版画20点を展示。大作(縦約2.3メートル、横約1.8メートル)で動かせなかった会場近くの「馬売図」(井上三綱作)も併せて鑑賞できる。

 同調査は、小田原での美術館建設を願い、西湘地区の芸術環境整備に取り組むおだわらミュージアムプロジェクト(OMP)との協働事業。OMPの提案で2017年度は市民会館の所蔵美術品の補修・保護事業に取り組み、台帳も作成した。18年度からは市役所の所蔵品にも取り組むことになり、他の市施設も含め、19年度で終了した。

 台帳には絵画、版画、彫刻など371点の作品名や作者名、寸法、展示状態などがまとめられている。公開の許諾を得た作品については市ホームページに掲載している。

 市によると、台帳にまとめられた美術品数は全体の4割程度。市郷土文化館など専門家が管理している施設については対象外としたという。市の担当者は「調査で市所蔵美術品に小田原ゆかりの作家の作品が多いことが分かったが、市民の大半は気付いていない。ぜひ実物を見て、知ってもらいたい」と話している。

 美術展は11日まで。入場無料。

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