国立科学博物館など、旧石器人の沖縄移住漂流説を否定

国立科学博物館と東京大学、国立台湾大学海洋研究所は台湾やフィリピンから琉球列島へ黒潮に流されて移住するのが困難とする調査結果を公表した。旧石器人が3万年前に琉球列島へ移住したのを黒潮に流された結果とする説を否定するもので、研究グループは旧石器人が黒潮に対する知見を集めて与那国島を目指したとみている。

国立科学博物館によると、研究グループが1989~2017年に台湾やフィリピンから流された漂流ブイの動きを解析したところ、95%は台湾と与那国島の間を通って東シナ海に入る黒潮を横断できなかった。

台風や北風で海が荒れているときに横断できたブイもあったが、こうした時期に古代人が航海したと考えにくく、沖縄県の島から20キロ圏内に近づくことができたのは全体の3%にすぎなかった。

漂着した島で人口を維持するには少なくとも10人程度の男女がいなければならないという研究報告が出ている。古代の舟に10人以上の男女が乗っている可能性は低いと考えられることから、研究グループは沖縄への漂着説は肯定できないとしている。

日本列島では3万8000年前ごろに大陸から旧石器人が渡り、人類史が幕を開けたと考えられているが、既に3万5000~3万年前に琉球列島の全域に人が暮らしていた。しかし、琉球列島にいた人たちがどうやってやってきたのかは分からず、島に偶然漂着したとする説と島を目指して航海したという説が出ていた。

論文情報:

【Scientific Reports】Palaeolithic voyage for invisible islands beyond the horizon

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