“どんな時もポジティブに”楽しく学ぶ人材育成。吉本興業会長・大﨑洋×「ビリギャル」作者・坪田信貴トークショー

12月2日、よしもと福岡大和証券/CONNECT(コネクト)劇場(福岡市中央区)で吉本興業取締役会長・大﨑洋氏と「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(通称・ビリギャル)の著者であり、同社の社外取締役を務める坪田信貴氏のトークショーが行われた。

同イベントは、8月に「吉本興業の約束 エンタメの未来戦略」(文藝春秋)が発売されたことを記念して開かれたもの。同書は、2010年に吉本興業を非上場化して反社会的勢力を排除するまでの生々しい経緯や、タレントとの理想の契約の在り方、吉本が目指す「地方創生・アジア・デジタル」の青写真など、未来を見据える日本屈指のエンタメ企業のありのままの姿を浮き彫りにした話題の1冊だ。トークショーにはゲストとして、2人と以前から交流のある、株式会社アフタヌーンソサエティ代表取締役の清水善次氏と、九州大学の岡田昌治教授が登壇。会場には老若男女の聴衆が集った。

この日の大きなテーマは「人材育成」。立場の違う4人が、インターネット環境が当たり前となった現代において、どう学び、どう働き、“人生100年時代”をどう生きていくかを、それぞれの視点で伝えた。

大﨑氏は「人を育てる“学びの場”はどこでもいい、人が育つのは“街”という学校だ」と言う。それの最たるものが「あなたの街に“住みます”プロジェクト」だ。俗に言う“住みます芸人”は、全国47都道府県に吉本興業所属の芸人が居住し、笑いの力で地域活性化させることを目的に始動。今や台湾、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマーとアジア圏にまで拡大している。芸人がその地で独自性を見つけ出すことで、芸人もその地域も共に成長するというわけだ。大﨑氏は、地方創生を自身の仕事の大きなテーマとし精力的に活動しており、来年には地方創生に特化した「よしもとチャンネル(仮)」を2021年に開局予定だと紹介した。

坪田氏は、“勉強”を好きにさせることがまず大切だと語る。その上で、何事においても「“一歩踏み出すこと”と“毎日継続すること”が人との出会いにつながる」と語る。さらにポジティブ思考な人を“人生のメンター”とし、後押ししてもらえれば、大きな成長になると説明した。

清水氏は自身の経験から、若いうちにリアルなビジネスを経験していくことでそこに楽しさを見いだすことができれば、長い人生を有意義に過ごすことができると話した。また、岡田氏も、誰もがさまざまな媒体を介して簡単に個人事業主になれる時代だからこそ、バーチャルだけでなく、“リアル”を生身で体感することが必要だと伝えた。

4人の発言に共通していたのは「学ぶことを楽しむ」という点だ。学びの対象は必ずしも学校で学ぶ“勉強”ではない。社会に出て求められる人間力をどのように高めていくか、経済や環境問題、地域格差などさまざまな問題がある“地球”で自分はどう生きていきたいかを、しっかりと考えていくことが大切だという。そこに必要となってくるのは「人と人とのつながり」だとも語られた。

インターネット上でもたくさんの出会いはあるし、実際に足を運ぶことで生まれる出会いもある。まずは「一歩踏み出す勇気」が人を育てる上で重要というわけだ。コロナ禍で人とのつながりの在り方が変わってきた今、インターネットとリアルの双方をうまく使いコミュニケーションを図ることが必要とされるだろう。

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