よみがえる幕末の長崎 測量値記載「大型古地図」 長崎大で発見 富士ゼロックスが複製

幕末期の長崎の町並みを描いた大型古地図の複製に見入る関係者=長崎市片淵4丁目、長崎大片淵キャンパス

 幕末期の長崎の町並みを描いた大型古地図が長崎大付属図書館経済学部分館の書庫で見つかり、同大の依頼を受けた富士ゼロックスが社会貢献活動として複製を作り7日、同大に寄贈した。古地図には各戸の面積など測量値が記されており、貿易の余剰利益を住民に配分するための算出資料とみられる。
 同大によると、古地図は2017年5月に見つかり、縦3.5メートル、横4.5メートル。1851~59年ごろの町並みとみられる。80カ町を4色で塗り分け、区画の面積や川、溝、道路などが詳細に描かれている。現在の県庁坂は階段になっており、町の境には番所がある。
 当時、長崎は対外貿易で潤い、余剰金を土地の面積に応じて配分する制度「箇所銀・竃(かまど)銀」があった。約60坪を1箇所とし、箇所数に応じて配分。地図には間口や奥行きの長さに加え、箇所数も記されている。
 箇所割りした大地図は長崎奉行所、長崎代官所など3カ所に置かれ、長崎歴史文化博物館が所蔵する「長崎惣町絵図」がその一つ。古地図は酷似しており、写しとみられる。同大経済学部の前身、長崎高等商業学校の卒業生が寄贈した。
 富士ゼロックスはデジタルカメラで複写して色味や風合いを補正。和紙にプリントして1年半がかりで再現した。同大は7日、富士ゼロックス長崎の竹内将人社長に感謝状を贈呈した。複製地図は来夏の同分館改修後に展示する。南森茂太分館長は「多くの人が見て当時の長崎を研究していく機会が増えれば」と期待を語った。

各戸には面積など測量値が記され、現在の県庁坂には階段が描かれている

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