「殿堂入りしていない名選手」ディック・アレンが78歳で死去

フィリーズなどで15シーズンにわたって活躍し、通算351本塁打を放ったディック・アレンが日本時間12月8日、出身地のペンシルベニア州ワンパムで亡くなったことが明らかになった。78歳だった。アレンはメジャー2年目の1964年に打率.318、29本塁打、91打点、OPS.939の好成績で新人王に輝き、MVP投票でも7位にランクイン。ホワイトソックス時代の1972年には本塁打と打点の二冠を獲得し、MVPを受賞した。2年後の1974年には2度目の本塁打王。オールスター・ゲームには7度選出された。

フィリーズはアレンの死を受けて声明文を発表し、「フィリーズは今日、我々の親愛なる友人であり、同僚でもあるディック・アレンの死に心を痛めています。ディックは球団の歴史のなかで最も人気のある選手の1人としてだけでなく、彼のレベルに到達するまでに多くの障害を克服した勇敢な戦士としても記憶されるでしょう」と述べた。さらに「ディックの象徴的な地位は、国民的娯楽を代表する偉大な選手の1人として、何世代にもわたって野球ファンの心に響くことでしょう」と付け加えた。

アレンは通算1749試合に出場して1848安打、打率.292、351本塁打、1119打点、133盗塁、OPS.912を記録。レギュラーとして活躍したのが10年強だったため、積み上げ式のスタッツが物足りなく、アメリカ野球殿堂入りを果たしていないものの、「殿堂入りしていない最高の選手の1人」と評価されている。フィリーズはこれまで殿堂入りした選手しか永久欠番にしてこなかったが、アレンの背番号「15」を永久欠番にすることを決定。今年9月にセレモニーが行われた。

アレンは2014年12月に行われたベテランズ委員会の選考で投票対象となったが、1票足りずに惜しくも殿堂入りを逃した。今年はアレンが活躍した時代の人物が再び投票対象となり、日本時間12月7日に投票が行われる予定だったものの、新型コロナウイルスの影響もあって投票は来年に延期されることが決定。アレンは自身の殿堂入りを見届けることができないまま、この世を去ることになった。近年は「過小評価されている」とアレンへの評価が見直されており、アレンは近いうちに悲願の殿堂入りを果たすことができるかもしれない。

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